阪神・糸井V二塁打!“鬼門”で執念の一振り「“神様、抜けてくれ”と祈りながら」

[ 2019年4月29日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神4―2中日 ( 2019年4月28日    ナゴヤD )

7回1死二、三塁、勝ち越しの2点適時二塁打を放ち、ガッツポーズを決める糸井(撮影・大森 寛明)
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 阪神・糸井嘉男外野手(37)が28日の中日戦で7回1死二、三塁から決勝の2点二塁打を放った。初回は中堅フェンス直撃の二塁打で史上71人目の通算300二塁打を達成。301本目が殊勲打になった。現存のセ・リーグ敵地球場のうち平成期間で最低勝率のナゴヤドームで今季初勝利。新時代では“鬼門”とは呼ばせたくない。

 糸井の執念が実った。同点で迎えた7回1死二、三塁。初球の直球をファウルした後、2球目に来た田島のスプリットを引っ張り、前進守備から飛びついた一塁手・ビシエドのグラブをかすめるように一塁線を抜いた。

 「上本のバントの後で還せたのでよかった。“神様、抜けてくれ”と祈りながら走りました」

 直近2試合は無安打で打率3割を切っていた。適時打は24日のDeNA戦以来15打席ぶり。やっと勝利に貢献できた安堵(あんど)感が言葉の端々から伝わってきた。

 節目の一打がきっかけだ。初回2死でフルカウントから柳のスライダーを中堅フェンス直撃の二塁打。史上71人目の通算300二塁打に到達した。これが実は11打席ぶりの安打。今季最長の“ブランク”を抜けだし、続く301本目が値千金の決勝打になった。矢野監督も「チャンスはあったけど、なかなか点が取れないというところでね。苦しい展開になったけど、嘉男(糸井)もよく打ってくれた」とうなずいた。

 奇抜な言動で“超人”と呼ばれていても、勝利に対して人一倍の強い気持ちを持つ男だ。昨年10月上旬。最下位に沈む中、左肩腱板(けんばん)の部分損傷でリハビリに努める日々に甘んじた。「上の雰囲気はどうなん?元気ないか?勝ちたいな…」。勝負のグラウンドを離れ、もどかしい本音を隠さなかった。昨季は6月にも死球で右足の腓骨(ひこつ)骨折も経験した。

 さらに振り返れば、17年も夏場に右脇腹故障で離脱。阪神加入後の2年間でフル参戦はなく、今季の逆襲に燃えていた。今春はキャンプから重点的に走り込み、下半身の強化に力を注いだ。平成の終わりに直面した“プチスランプ”も早々に脱し、3月30日のヤクルト戦以来、今季2度目の決勝打で存在感を示した。

 「勝ててよかった。どんどん上を目指してやっているので、頑張ります」。序盤戦のヤマ場と目される12連戦は始まったばかり。苦しい時こそ糸井がきっとやってくれる。(長谷川 凡記)

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