巨人・今村、7回零封で今季初勝利 原監督の「楽しんで放ってくれ」に発奮

[ 2019年4月29日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人7―2DeNA ( 2019年4月28日    東京D )

力投する巨人先発・今村(撮影・西尾 大助)
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 巨人の今村信貴投手(25)が28日のDeNA戦で今季初先発し、7回2安打無失点で今季初勝利を挙げた。原辰徳監督(60)から3回攻撃中に助言を受け、4回以降は無安打投球だった。開幕前には憧れの元マリナーズのイチロー氏(45)とも対戦した8年目左腕の快投で、チームは27日から始まった10連戦を連勝でスタートし、新元号を首位で迎 えることが決まった。

 名将とレジェンドから注入された侍魂で、今村がスコアボードに0を並べた。3回の攻撃中。原監督がおもむろに左腕に近づいた。

 「苦しんでいるように見える。見ていて(こっちを)、楽しくさせてくれないか?マウンドで演ずるというか、高揚しながら楽しんで放ってくれ」

 3回まで無失点ながら3四球。リズムが悪く、表情もさえなかった左腕の背中を押した。指揮官の叱咤(しった)を受けた今村は「開き直った。マウンドで躍動しようと思って投げた」。ここから変わった。

 4回以降は90キロ台のカーブと140キロ台の直球で緩急をつけた。腕を目いっぱい振り打者の目を錯覚させた。降板する7回まで無安打。試合前時点で対戦成績が8打数7安打4本塁打の天敵・筒香も、6回無死一塁でカーブで中飛など2打数無安打に封じた。

 7回2安打無失点で今季初白星。「(途中から)自分らしい投球を心がけた。勝ててホッとしています」。4回以降は自信に満ちあふれた表情で投げ、お立ち台では会心の笑みを何度も浮かべた。

 開幕直前。3月17日のマリナーズとのプレシーズンゲーム(東京ドーム)でイチロー氏と対戦した。全球、直球勝負で中飛と二ゴロに抑えた。「プロになってイチローみたいになってやる」と記したのは小学校の卒業文集だった。「非常に貴重な時間を過ごさせてもらった」。夢のような時間を自らの糧に変えた。開幕ローテーション入りは逃したが、2軍でも前を向いた。文集も読み返した。「さむい時やいやな時もあるけどぼくはそれをのりこえてぼくは野球をつづける」――。少年時代の決意を東京ドームで体現した。

 チームは16年以来3年ぶりの4月終了時の首位を決めた。平成の終わり、そして令和の幕開けを首位で迎える原監督は「それに対しては感謝申し上げます」と穏やかな表情で頭を下げた。

 「勝ちを積み上げていかないといけない」と今村。09年WBCで日本を世界一に導いた原監督の言葉と、その原動力となったイチロー氏との対戦が、8年目を迎えた左腕を一回り成長させた。(青森 正宣)

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2019年4月29日のニュース