吉田えり ナックル姫からシュート姫へ…新たな武器で日本代表目指す

[ 2016年3月29日 11:30 ]

2月27日、侍ジャパン女子代表2016トライアウトでランニングする吉田えり

 球春。4月9日には、北陸の地にも春が届く。独立リーグ・ルートインBCリーグが開幕。石川では、1メートル56の小柄な女性投手が男子に交ざって奮闘している。吉田えり。今年は「侍ジャパン入り」という、もう一つの野望を胸に秘める。

 2月28日。その瞬間、「ナックル姫」は目をつぶって下を向いていた。緊張を隠せなかった。千葉県内で行われた侍ジャパン女子代表の選考トライアウト。64人の参加者全員が集められ、候補入りしたメンバーの名前が読み上げられていく。「吉田えり」――。自身の名が呼ばれた。顔を上げる。ようやくホッとしたような笑顔を見せた。

 「代表は中学生の時から夢、憧れだった。高2の時には落ちてしまって…。凄く悔しい思いをしたけど、自分の実力じゃまだまだと思っていた」

 かつて脚光をあびた右腕も24歳になった。元々はサイドスロー。19歳の夏から上手投げになった。トライアウトでは打者9人に34球を投げ、3安打1四球で1奪三振。代名詞のナックルも投じたが、候補入りの決め手となったのはそれ以外の2つの長所だった。

 「女子選手では珍しいシュート」。3人目の右打者に、1ボール2ストライクから内角シュートを投じた。打者が思わず腰を引いてしまった切れ味で見逃し三振。参加者の中で、シュートを投じたのは1人だけだった。実戦で投げるのは初。石川の多田野数人兼任投手コーチから、ブルペンで「試合でも全然使えるよ」と太鼓判を押された球種だ。男子選手相手では、直球系のボールは球威不足で通用しづらい。だからこそのナックル、なのだが、女子選手相手となれば別。シュートとスライダーで横幅を使い、そこにナックルでアクセントを加える。大きな武器となるはずだ。

 「素早いけん制やフィールディング」。本人も自信を持つプレーは男子に交ざっているからこそ磨かれた。「男子のスピードの中で、常に守備も全力でやっていた。けん制の速さも武器だと思っている」。女子代表の大倉孝一監督も「久しぶりに見たが、男子の中でやってマウンドさばきやけん制などのプレーが洗練されてきた」と評した。

 9月の女子野球W杯(韓国・釜山)に出場できる登録メンバーは20人。現在の23人の候補に、女子プロ野球の選手も加わって代表候補合宿を経て選ばれる。狭き門に挑むナックル姫あらため、シュート姫。世界の舞台に手が届くところまでやってきた。(鈴木 勝巳) 

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