ルール改正で娯楽性向上に成功したメジャー、次の課題はどうすれば三塁打を増やせるか?

[ 2023年5月28日 15:22 ]

<エンゼルス・マーリンズ>9回、三直に倒れる大谷(撮影・会津 智海)
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 2021年の大谷翔平は三塁打8本でリーグトップだった。今季はここまでブランドン・マーシュ、ケテル・マルテ、ブランドン・ニモ、アメド・ロサリオ、ロバート・ウィットの5人がトップで4本。近年三塁打は少ない。MLBのデータサイト「ファングラフス」によると、今季のチーム1試合あたりの三塁打0・12本は史上最低だという。

 今季はルール改正でヒットや盗塁が増え、野球がよりエキサイティングになり、娯楽としての価値が高まった。一方で、野球で一番エキサイティングなプレーともいえる三塁打数が減少した。

 どうすれば三塁打を増やせるのか?

 三塁打には、パワー、スピード、大胆さと3つの要素が入っている。時間にして11秒から15秒、外野手がボールを追いかけ、内野手がリレーの位置へと移動する間に、打者走者は一塁から二塁を蹴って、三塁に向かう。スリリングで、みんなが見たがるワクワクするプレーなのに、今季のメジャーでは4試合に1度しか見られない。20世紀前半はチーム1試合あたり0・4個から0・5個の三塁打が出た。史上最もたくさん三塁打をマークしたサム・クロフォード(1899年から1917年)は通算309三塁打。2番目のタイ・カッブ(1905年から1928年)は295本。一方で現役最多のチャーリー・ブラックマンはたったの60本である。

 なぜ三塁打が出ないのか?

 マイケル・バウマン記者が3つの原因を挙げている。まずはベースランニングで、走者が臆病になっているから。選手もコーチも三塁目前でアウトになりたくないから慎重になり、行ける時でも行かない。

 2つ目の理由は球場の構造。外野が狭く、フェンスが単調。メジャーの球場で、三塁打が出やすいのはコメリカパーク、クアーズフィールド、オラクルパーク、リグリーフィールド、フェンウェーパークなど。広い外野で、外野のフェンスがすごく高かったり、蔦が生えていたり、左右非対称でいびつだったりと、特徴がある方が良い。ミニットメードパークは以前はセンターの後が坂になっていた。

 3つ目の理由は外野手が上手になったから。1960年、外野手の守備率は98%だったが、今は99%。普通のプレーは確実にさばいてしまい、エラーがつくのは主に送球の時。その上強肩の外野手が増え、勝負に行けない。

 バウマン記者は今の流れでは、三塁打はさらに減っていくと嘆き、コミッショナーの英断が求められるとしている。球場の建築に、ミニゴルコースのデザイナーを採用し、外野に池、噴水、あるいは風車を置いてみてはどうかと。もちろんこれは冗談だが、外野を広げ、フェンスの形状の工夫は、見当の価値があるだろう。

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