【岡崎真の目】素晴らしい金メダル 勝利を手繰り寄せた非常に大きなリカバリー

[ 2018年2月17日 15:39 ]

平昌五輪フィギュアスケート男子フリー ( 2018年2月17日 )

男子フリー、演技を終え歓喜に浸る羽生結弦(左)とオーサーコーチ(撮影・小海途 良幹)
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 さすがに後半は疲れが出たが、それでも気力で最後まで滑りきった羽生の演技は素晴らしかった。気負いもなく冒頭から演技に入り込み、前半はほぼパーフェクト。しかし、後半に入ると少しずつ疲労が見え始め、4回転トーループからの3連続ジャンプは着氷準備が間に合わない感じで回転が止めきれず、単独になってしまった。

 見事だったのはそこからのリカバリーだ。3回転半と2回転トーループの連続ジャンプを、とっさに1回転ループと3回転サルコーを付けた3連続に変更して成功させた。もしここで3連続にしていなければ3回転サルコーの点数がまるまるなかった訳で、上位陣の僅差の勝負の中では非常に大きなリカバリーだった。

 右足を痛めて氷に乗れない時期が長かったただけに最後まで体力が持つのか、それだけが心配だったが、金メダルを獲るんだという気力の方が体力的なハンデより勝った勝利だったと思う。4年前と比べて4回転ジャンプの種類も増え、どんなパターンで行っても勝てるという心のゆとりが感じられた。年齢も重ね、演技に深みも増した。素晴らしい金メダルだった。(ISUテクニカルスペシャリスト、プロコーチ)

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