宇野、SPで3位 フリーは4回転4本、日本ワンツー表彰台へ

[ 2018年2月17日 05:30 ]

平昌冬季五輪   フィギュアスケート男子SP ( 2018年2月16日    韓国・江陵アイスアリーナ )

滑走順抽選でジャージのサイズが合っていない宇野昌磨(左)に爆笑する羽生結弦
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 男子ショートプログラム(SP)で、宇野昌磨(20=トヨタ自動車)が104・17点で3位につけた。ジャンプを全て決め、自己ベストに0・7点と迫るハイスコア。17日のフリーはフリップ、ループ、トーループ×2の4回転3種類4発に挑む予定。7・51点差の羽生を追って、「トゥーランドット」を完璧に舞う。

 集中力を極限まで高め、宇野はモニターをみつめていた。自身の3人前、羽生が完璧な滑りを披露。「僕も、いい演技をして終えられたら」。4回転フリップ、トーループの4―3回転を成功。「やばいと思った」という3回転半も、意地でこらえた。104・17点は自己ベストの104・87点に肉薄。演技直後の熱いガッツポーズとは対照的に、冷静に淡々と振り返った。

 「完璧とは言い難いけど、満足している。点数は自分の演技そのものかな」

 今季SPビバルディ「四季」の「冬」は、樋口美穂子コーチが2年以上前から温めてきた勝負曲。3度のジャンプを終えると、大観衆から手拍子が起こった。「今季の中では一番高ぶりがあった。体が動きすぎてしまって、どう抑えようかと」。自らをコントロールし、静謐(せいひつ)な曲調に確かな熱を込めた。5項目の演技点では全て9点台。9日の団体SPの103・25点からスコアを伸ばした。

 「ステップもつなぎもまだまだと思うところもあるけど、それでもこれだけの演技ができた」

 いつも羽生の背中を追ってきた。12年の全日本選手権。初優勝した羽生とは、86・2点もの差があった。「100%勝てないな」。ずっと抱いていた思いは昨季後半に変わる。羽生不在の16年全日本を制し、17年世界選手権では羽生に2・28点差まで迫った。「勝ちたい」。熱い気持ちが、厳しい練習に耐える原動力だった。

 今季は羽生に対する呼び方も変化。これまで取材では「ゆづ君」と話していたが、今は「羽生選手」と口にする。憧れているだけでは勝てないから、自分の中で一線を引いた。「ゲームは勝つまでやるタイプ。対戦型が好き。人と競うことが好き」。昨年4月の世界国別対抗戦以来となる羽生との激突。最高のステージで競い合えることが、うれしかった。

 SP後の会見。フリーへ「4回転を4本やります」と話した宇野だが、声が小さすぎたため、右隣の羽生に“もっと声出して”とジェスチャーで促された。「平常心で、やってきたことを信じて頑張るだけ」。7・51点差で迎えるフリーは最終滑走。「トゥーランドット」を完璧に舞って、会見場に戻ってくる。そして大きな声で喜びを語ろう、王者が座る中央の席で――。

 【日本の五輪 同時表彰台】

 ▽表彰台独占 72年札幌五輪のスキージャンプ70メートル級で笠谷幸生が金、金野昭次が銀、青地清二が銅で表彰台を独占。夏季では72年ミュンヘン五輪の体操男子個人総合で加藤沢男、監物永三、中山彰規が達成。

 ▽金&銀メダル 夏は32年ロサンゼルス五輪の競泳男子100メートル自由形で宮崎康二が金、河石達吾が銀など。冬は達成例なし。

 ▽金&銅メダル 98年長野五輪のスキージャンプ・ラージヒルで船木和喜が金、原田雅彦が銅など。

 ▽銀&銅メダル 92年アルベールビル五輪のスピードスケート男子500メートルで黒岩敏幸が銀、井上純一が銅など。今大会の同女子1000メートルでは小平奈緒が銀、高木美帆が銅。女子では夏冬通じて初めての同時表彰台だった。

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