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アユ釣り歴50年 89歳 貫禄25センチ 54歳・息子とワクワク自作仕掛け

[ 2022年9月18日 07:20 ]

大アユを釣り上げた高橋信之さん
Photo By スポニチ

 【奥山文弥の釣遊録】親子で釣り、というイメージは若いお父さんが子供を連れて行うほほ笑ましい釣りがほとんどですが今回はちょっと異色です。

 東京都羽村市で「レクス」という理髪店を経営する高橋信吾さん(54)の趣味は釣りとバイクとカービング。何年か前に羽村市の会館でフィッシュカービング展を開いた時に出会いました。作品はサケ科魚類を中心にイワナのバリエーション全魚種、そして多摩川に棲息する魚類どころか、河原や岩をも再現した素敵なものでした。

 この春には、奥多摩湖にサクラマスを復活させるプロジェクトのために、湖型サクラマスのカービングも作ってくれました。

 出会いは夢の始まり。散髪にお店を訪れると昨年、米寿を迎えた父親の信之さん(89)と一緒に仕事をしていました。

 聞けば信之さんはアユ釣り歴50年。連れられて行った信吾さんもハマって15年。今では信吾さんが安全な場所を見つけて親子でアユ釣りに行っているそうです。散髪しながら釣りの話ができたことと、そういう親子と釣りがしたくてご一緒しました。

 場所は栃木県の渡良瀬川。9月に入ると大型のアユが釣れるそうです。ポイントは前週に信吾さんが試し釣りをした駐車場から近いお父さんのために探した場所でした。そこは放流魚よりも天然遡上(そじょう)魚が多いそうです。

 高橋さん親子は自作仕掛け。お父さんはなんとナイロン通し、0.8号です。昔はこれで多摩川支流で29.5センチまで釣ったそうです。

 「デカアユよ来い」。ワクワクしながら始めて20分。グンと重くなりましたがそれは根掛かり。これに意気消沈し、釣り場を観察するために信吾さんの釣りを見学しました。

 彼もなかなか掛かりません。どんどん上流に移動していきました。1時間ちょっとしてから釣り再開。するとすぐに掛かりました。良い引きをして22センチほどの良型をキャッチ。すぐにオトリをチェンジし送り出すとまた速攻で掛かりました。さすが野アユは違います。私の1匹目とほぼ同時に信之さんにもヒットして0.8号が切られたそうです。

 オトリは弱っていないと判断して、2匹目の野アユを信之さんに使っていただくと、この日最大の25センチが掛かりました。

 その後、私にもヒットし、強烈な引きが来ました。ルアーのアユでは味わえない友釣りの醍醐味(だいごみ)です。「抜かない方がいいよ」と信之さん。ロッドをしならせ、下流について行きましたが、ついにはバラしてしまいました。

 昼食後、上流に行っていた信吾さんも「メタルの0.2号を切られた!」と悔しがりながら下りてきました。

 「今ここで2人で5匹掛かったよ」と報告すると、驚きを隠せない表情。魚はいるのでまた時合が来るのを待とうということになりました。

 そしてその時がやってきました。私もかなり丁寧に引き寄せたつもりでしたが、バラシもしましたがそれでも24センチ級をキャッチ。

 大アユに翻弄(ほんろう)された楽しい一日でした。(東京海洋大学客員教授)

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