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手ごわい赤鬼 オニカサゴ“退治”するはずが…

[ 2024年2月6日 04:30 ]

赤鬼をゲットしたもののこの大きさとは…さすがにリリース
Photo By スポニチ

 【バイカー紗希の釣~りんぐ】125CCのバイクに乗って釣行へ向かうアウトドア大好きの釣りガール・中山紗希が、東京湾のオニカサゴに挑戦した。“赤鬼”退治を目指し千葉・浦安の吉久から、いざ海へ。


 オニカサゴは150号のオモリを水深100メートル以上の中深場に沈める釣りで、底ダチとタナを細かく取り直すイメージ。半日もすればオモリの重量で腕は悲鳴を上げ、午後は置き竿でお菓子を食べていることもある。

 ところが、東京湾内ではライトタックル(LT)で大丈夫だという。オモリは80号と半分ほどだし、用意する電動リールにはPE2号を巻く。PE1・5号以下にオモリ60号という組み合わせもOK、さらに、手巻きでも戦える。まるで夢のようだ。

 航程1時間半で観音崎沖の水深60メートルに到着。吉久の仲乗り・黒田浩司郎さんから「船の揺れに合わせて、オモリで底をトントンする誘いが効果的です」とアドバイス。上から落ちてくる餌を演出しようと、竿を大きく上げて誘っていたが、これは意味がなかったよう。教えてくれた通り、底を取ったついでに餌を動かし、竿先を上げるのは10センチほどにとどめてフワッとした誘いを意識。すると間もなくガツン、ガツンと当たりが出た。「ほらね?」と言わんばかりに黒田さんが玉網を持ってかけつけてくれた。

 オニカサゴは水圧の変化に対応できるため、最後まで強い引きをみせてくれる。2つ隣でも電動リールを巻く音が聞こえ、竿先が何度も海中に突っ込む。その様子を見た黒田さんは「カサゴの巣の上を通ったんですかね」と声を弾ませる。期待に胸躍らせながら巻き上げてくると、水面に見えたのは800グラムほどのマハタ。うれしいゲストではあるが、2つ隣で釣れたのは良型の本命。それを見ていた田村誠志船長は「じっとしてても釣れないからね。いろいろ試してる方が釣れるよ」。

 昼過ぎには、ほとんどの釣り人が本命をゲットするほどの好調ぶり。千葉県市川市の浜田健さん(会社員)はレンタルタックルで40センチを釣り上げ「ジギングが好きで、普段はタチウオやサワラを狙っているんだ。電動リールは買うか悩み中」と満面の笑み。餌もジグも動かさないと釣れないため、通じるものがあるのだろうか。

 ジギングなら私も得意なのに…。時は刻々と流れて終了5分前、オデコを覚悟しているとゴツ、ゴツとカサゴらしき小さな当たりが出た。オニカサゴは大きければ大きいほど当たりが小さい、と聞いたことがある。もしや、最後の最後に大物というドラマチックな展開!と興奮しながらジッと本当たりを待つ。向こう合わせ気味で巻き上げてくると、なぜか全く引かない。バレたのかと落胆して仕掛けを見ると本命ではあるが小さな“赤鬼”がぶら下がっていた。さすがにこれはリリースサイズ。鬼退治のつもりだったが、予想外の仕打ちに遭ってしまった。

 意気消沈の帰り道。風に乗りキャラメルのような甘い香りが漂ってきた。視線を上げると船は夢と魔法の王国・東京ディズニーリゾート横を通過していた。携帯電話で園内にある「プロメテウス火山」の登り方をネットで検索。オデコ同然の釣果から目を背けた。


 ◇中山 紗希(なかやま・さき)1992年(平4)生まれ。都内の会計事務所に勤務する傍ら125CCのバイクで釣行。日本百名山全山踏破にも挑戦しているアウトドアラー。

 ≪お裾分けで舌鼓≫ 帰港後、オニカサゴをお裾分けしてもらった。珍しい人がいるもんだ。ありがたや、ありがたやと、しゃぶしゃぶにしていただく。アラで取った濃厚なダシにくぐらせた身はプリプリ。魚とは思えないくらい味が濃かった。かめばかむほどにうまみが広がる逸品だった。

 ▼釣況 東日本釣宿連合会所属、浦安・吉久=(電)047(351)2983。出船は午前7時、乗合料金は1万1500円。タチウオ船、マアジ船、アカメフグ船ほかも出船中。

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