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多摩川で“投魂”注入

[ 2020年2月15日 07:46 ]

初参加の高尾さんに指導する筆者
Photo By スポニチ

 【奥山文弥の釣遊録】昨年秋の台風以降、多摩川の上流域は今でも水が濁っていて、魚の気配があまり感じられない状況ですが、下流域は支流や水再生センターからの浄化水が流れ込むので濁りは少なくなっています。しかし、川原の状況は一変しました。

 変わってしまったポイントを探しながら釣るのも面白いものです。まさかと思うような場所に大物がいたりしますから。マンネリ化しないでワクワクドキドキ感を与えてくれるのがいいですね。

 多摩川はフライフィッシングでそれら全ての魚を釣ることができますから魅力のある川であるとも言えましょう。上流のヤマメやイワナから、中流はオイカワ、フナ、コイも釣れます。釣れる情報が流れると1カ所に人が集中しますが、それはブラックバスのみ。フライという手段で釣れるなら何でも歓迎と大きく考えると気が楽です。ゆっくりじっくりと釣りをして最大で80センチぐらいまでの淡水魚を釣ることができるのです。餌釣りやルアーに比べると釣り方が複雑で投げ方も特種ですが、故に奥が深く満足度の高い釣りだと言えます。魚を食べるという目的でやる釣りと違いますから、女性たちを釣りに誘う時も、単に釣りというよりもフライフィッシングでという方が、反応がいい気がします。

 今回のイベントはフライキャスティングという投げ方を教えるレッスンです。女子大生、親子を含む9人が稲城市の多摩川河原に集い、日差しの中でフライキャスティングを楽しみました。

 釣りをする前にまず投げ方から練習するのはフライをおいて他にはありません。これは野球で言うならキャッチボール、サッカーで言うならドリブル&パスの練習のようなものです。勝手に魚が掛かってくるようなマグレ的な釣果はまずありませんから釣れた時は実力です。この満足度は相当なものです。まずは15メートルぐらいの距離を投げられるように練習します。

 昨年末、78センチのコイを餌釣りで釣った小田勲さんは、今年はぜひフライで大物をと真剣に練習していました。初参加の高尾美鈴さんは、多摩川流域の観光による経済効果を研究する女子大生。都会の川でフライフィッシングなら、観光誘致がしやすいのではとまずは体験のために。

 ウエダーを準備し、道具についてもゆっくりそろえていきたいと張り切っていました。まだ魚は釣っていません。次回は魚を掛けたいなとも。

 フライ歴3年目の平井忠さんは逆風をついて投げるダブルホールという上級技術をマスターすべく繰り返し投げていました。

 途中、多摩川漁協の清水文雄さんが監視に来ました。台風後の状況も清水さんが教えてくれました。今後も多摩川の未来に希望を託して釣りをするために年券(5000円)を5人が購入。これで堂々と釣りができます。「監視員が来たら日釣り券買うよ」と遊漁券を買いたがらない人もまだまだ多いようですが、全ての魚種を遠慮なく釣るためには年券を購入することもお勧めします。「最近はね、ルアー釣りの人もウグイなど雑魚の放流協力として年券を買ってくれる人が増えたんだよ」と清水さんは笑顔で話してくれました。

 6時間のレッスンはあっという間に過ぎ、終了後は近隣のカフェでフライ談議。多摩川攻略法をレクチャーして、再会を約束し解散しました。(東京海洋大学客員教授)

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