災害に負けない 木戸川サケ復興応援 震災、台風、豪雨で壊滅状態も…希望35匹

[ 2019年11月10日 07:20 ]

復興応援の参加者たちと
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 【奥山文弥の釣遊録】東日本大震災の津波、そして原発事故から8年たちました。それまではサケ釣りができる川として有名だった福島県楢葉町の木戸川は、ずっとサケ漁が不振でもちろん釣りをすることなど論外というほど遡上(そじょう)が激減していました。そんな中でも今年は震災後の2015年に初めて放流されたサケたちが帰ってくる、そういう明るい希望を持った年でした。そろそろサケが帰ってくるぞと楽しみにしていた10月上旬、台風19号で氾濫寸前まで大増水し、サケ捕獲施設に大打撃を被った後、そしてまた1週間後の大豪雨で壊滅状態になってしまいました。

 私たちは木戸川サケ釣り復興応援として、何人かの有志を募り毎年10月末に現地へ出かけていました。木戸川漁協の孵化(ふか)場長・鈴木謙太郎さんをはじめとする漁協の方々を応援して漁のお手伝いをするためです。

 今年はたまたま2週間遅れて今月3日に開催したため、幸運と言っていいのか分かりませんがちょうど水が引き始めたころになりました。

 参加者は13人でした。今年は家内と次男も参加しました。鈴木さんたちに応援のエールを送り、捕獲カゴに入った少ないサケを一緒に水揚げしました。この日取れたサケはわずか20匹。夜は私のサーモンセミナーと懇親会をしました。過去に撮った動画を披露し、「あのサケを釣ったらどんなことになるのか、ロッドがどれだけ曲がるかワクワクしませんか?木戸川ではそれができたんですよ」と話すと参加者一同が目をキラキラさせていました。特にフライロッドでのファイトシーンは強烈だったようです。
 翌朝は投網の見学と体験練習でした。初めて投網を打った参加者もサケをゲットし驚きました。2日目は15匹のみでした。サケ釣りが行われていた頃の最盛期は1日8000匹取れたこともあることから考えるとかなり悲惨です。

 水害のために全ての見学セミナーや販売所での買い物がキャンセルになった時にあえて出かけた私たち。

 「誰も来てくれないのによく来てくれました。感謝します」と今年に4月に就職したルーキー中島猛さんが、鈴木さんと一緒に語ってくれたのでホッとしました。

 最盛期なはずなのに、水が引いたのに取れないサケ。増水時に捕獲フェンスを越え、上流に行ってしまったのか?濁流すぎて川に上れず、どこかで待機するのか、他の川へ行ってしまったのかは分かりません。

 今年は福島県全体のサケの川が台風の影響で壊滅状態です。別の川では堤防が決壊し、捕獲施設は流され、孵化場にも浸水したところもあります。木戸川は不幸中の幸いだったのでしょうか?
 復興はまだまだ先の話になってしまいそうです。実は鈴木さんは震災以降、働き過ぎて過労気味、この春には倒れてしまいました。あまり頑張り過ぎず、ゆっくり活動してほしいと思います。
 今回は有名ユーチューバーのトミックさんが撮影してくれたので、これまでサケに興味がなかった方々も動画を見てくれると思います。それが復興支援の一環になることを願っています。(東京海洋大学客員教授)

 ◆東京海洋大学フィッシングカレッジ あす11日(月)午後6時半から品川キャンパスで。テーマは「水産のプロになるために」。講師は水産庁の中屋敷勇治さん。入場無料、予約不要

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