藤井王将 年度内6冠射程!敗者復活トーナメントから4連勝で棋王戦初の挑戦権獲得

[ 2022年12月28日 05:10 ]

棋王戦の挑戦権を獲得し花束を手にする藤井王将(撮影・光山 貴大)
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 将棋の第48期棋王戦挑戦者決定トーナメント2番勝負は27日、東京都渋谷区の将棋会館で第2局を行い、先手の藤井聡太王将(20)=竜王、王位、叡王、棋聖含む5冠=が佐藤天彦九段(34)を下した。2連勝で5番勝負初挑戦を決めた。

 「狭き門」など、ものともしなかった。藤井は本戦準決勝で佐藤に敗れたが、敗者復活トーナメントで伊藤匠五段(20)、羽生善治九段(52)を破り挑戦者決定2番勝負に進出。1敗した時点で敗退となるハンデも何のその、終わってみれば圧巻の4連勝で初の挑戦権を獲得した。

 「棋王戦はこれまで上位に進めたことがなく、今回初めてベスト4まで進み、敗者復活戦でたくさん指せた充実感があった。最後まで挑戦は意識していませんでしたが、一局一局の結果がつながってうれしく思います」

 振り駒で先手を得ると、佐藤から誘われた横歩取りを選択。中盤戦までは互角に組み合い、佐藤が持久戦では勝てないと踏ん切りをつけ、やや無理気味の攻めに出たところを丁寧に対応する。角2枚と金銀で自王をがっちりと囲い、その堅陣をこじ開けられる隙を与えない。最終盤は攻めに転じる前に相手の攻撃の芽を一つ一つ摘み取る盤石の差し回しをみせ、年内最終戦を大きな白星で締めた。

 渡辺明棋王(38)=名人との2冠=に挑む5番勝負は来年2月5日、長野市で行われる第1局で開幕する。つまり2、3月は第72期ALSOK杯王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社)とのダブルタイトル戦だ。複数戴冠者ゆえのハードスケジュールを強いられるものの、昨夏には王位戦、叡王戦で体験済みとあり「(当時は)短い間隔で対局が続きましたが、大変と言うより充実感があった。今回もそういう気持ちでやっていきたい」と涼しい顔で意欲を明かす。

 レジェンド羽生を挑戦者に迎える王将戦を防衛し、棋王戦で渡辺棋王を下せば年度内6冠が実現する。2023年もこの若武者が世界の中心にどんと居座りそうだ。

 ≪最短来秋8冠も≫年度内6冠の可能性がある藤井だが、新年度早々に始まる名人戦では予選に相当するA級順位戦で現在首位。3月上旬の最終戦までにトップを確定させれば渡辺名人への挑戦権を手にし、戴冠の場合は史上最年少名人となる。さらに例年9月開幕の王座戦にも出場の可能性があり、9月下旬から10月にかけて史上初の全8冠制覇という偉業も見えてくる。

 ≪銀河戦は2年ぶりV、一般棋戦も総なめへ≫藤井が高見泰地七段(29)と決勝トーナメントの決勝で対戦した第30期銀河戦が27日放映され、藤井が91手で勝利した。藤井は2年ぶり2度目の優勝。11月のJT杯に次ぐ今年度の一般棋戦制覇で、8つあるタイトル戦以外に朝日杯、NHK杯と合わせて4つある一般棋戦のうち2つを制した。

 初の決勝進出で勢いに乗る高見を、角換わり腰掛け銀で破り、「これまでの反省を踏まえて、積極的に決断よく指すことができた」と笑顔。本戦は持ち時間15分、考慮時間10分で切れたら一手30秒未満の早指し戦だった。

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2022年12月28日のニュース