藤田怜央 9歳の世界最年少棋士が入段記念対局 敗退も相手の余八段が絶賛「9歳とは思えない」

[ 2022年9月2日 19:08 ]

余正麒八段との入段記念対局に座布団2枚敷きで臨んだ藤田怜央初段
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 囲碁の世界最年少棋士・藤田怜央初段(9)が2日、大阪市内で余正麒八段(27)との入段記念対局に臨み、余が160手で白番中押し勝ちした。藤田は関西棋院が4月に新設した英才特別採用棋士の第1号となり、前日1日付けで入段。余は10月21日に開幕する第70期王座戦5番勝負に出場し、井山裕太王座(33)に挑むホープで、「9歳とは思えずすごい。読みが深く、気がつかない手が繰り出せる」と絶賛。自身の9歳時点と比較し「怜央君の方が強い」と将来のタイトル戦出場を約束した。

 対局は、後から打つ白番の余が、通常受け取る6目半のコミ(ハンデ)をなくす定先(じょうせん)で行われた。椅子に座布団を2枚重ねたため、シューズのかかとがフロアに着かない1メートル30のちびっ子棋士は中盤、捨て石から相手陣地を荒らしにいった。

 「控え室で誰も挙げなかった手」。対局を見守った師匠の星川拓海五段(39)が驚くと、解説会に登場した、余の好敵手・佐田篤史七段(26)も「(余は)緩めるタイプではない。最後も時間を使って読んでいた。早い段階からトップと打つことは財産」と藤田の前の最年少棋士で、4月に女流名人戦3番勝負に出場した中学生棋士の仲邑菫二段(13)を例に将来性を保証した。

 「負けました」と投了を告げた以外、終局後の会見でも言葉は発しなかった。気恥ずかしさだけではない。「頑固なところがある」。星川が挙げたのは8月17日の入段会見。将来対戦したい棋士を問われた藤田に「耳打ち役」として隣席に陣取った星川が「余八段」とささやいても首を傾げて応じない。

 元々、余の碁を「すごい好き」と語り、記念対局の相手も務めるとあって推薦したが、藤田は結局「井山先生」とした。大物感を漂わせる9歳が、プロとして第一歩を記した。

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2022年9月2日のニュース