「ちむどんどん」20年前の記事は田良島だった 嘉手刈役・津嘉山正種が名演 ネット絶賛「画面が締まる」

[ 2022年7月19日 08:15 ]

連続テレビ小説「ちむどんどん」第72話。和彦(宮沢氷魚)の取材に嘉手刈(かでかる)(津嘉山正種・左)は…(C)NHK
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 女優の黒島結菜(25)がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)は19日、第72話が放送された。

 <※以下、ネタバレ有>

 朝ドラ通算106作目。タイトルは沖縄のことばで「チム(肝=心)が高鳴る様子」「胸がドキドキする」という意味。映画「パッチギ!」「フラガール」などで知られ、2014年後期「マッサン」を担当した羽原大介氏がオリジナル脚本を手掛ける。今年、本土復帰50年を迎えた沖縄を舞台に、沖縄料理に夢を懸けるヒロイン・比嘉暢子(のぶこ)ら個性豊かな4きょうだい、本土復帰からの歩みを描く。

 第72話は、1978年(昭和53年)8月。沖縄のお盆、ご先祖さまをあの世へお見送りする最も重要な日「ウークイ」に、賢秀(竜星涼)良子(川口春奈)暢子(黒島)歌子(上白石萌歌)が7~8年ぶりに実家に顔を揃えた。4人は自分たちに何か隠していることがあるのかと優子(仲間由紀恵)を問いただす。ちょうど和彦(宮沢氷魚)も嘉手刈老人(津嘉山正種)の取材のため沖縄入りし、沖縄本島南部の洞窟へ。気難しそうな嘉手刈は、和彦に何も語ろうとはしない…という展開。

 和彦は洞窟で優子と再会。優子は「もうバスの時間だから。ここで会ったことは、暢子には言わないでね」と言葉少なに洞窟を後にした。

 20年前、「遺骨収集 激戦の記憶刻む」という嘉手刈の記事を書いたのは、田良島(山中崇)だった。田良島は嘉手刈に迷惑を掛けたと後悔。「嘉手刈さんにこれだけは伝えてくれ。オレはずっと…」。和彦の公衆電話が途切れた。

 和彦は嘉手刈の家を訪ね、父・史彦(戸次重幸)や自分、田良島のことを話した。房子(原田美枝子)は毎年、沖縄戦の遺骨や遺品を収集して家族の元に返す嘉手苅の活動に多くの寄付をしていた。房子が和彦に預けたのは、本土の遺族からのお礼の手紙だった。

 嘉手刈は「届けてくれて、ありがとうね。わしの親戚や友人には、いろんな立場の人がいてね。あの戦争の話は、もう思い出したくもないという人もいるし。アメリカ人相手と商売してね、生活をしてる人もいる。私のところに、文句を言いに来た人もいるよ。取材を受けなければよかったって一言、田良島さんに言ったら、それを田良島さん、ずっと気にしてるわけさ」と打ち明けた。

 「今日はウークイだ。これも何かの縁かもしれないね。あの戦争で人は人でなくなることをした。自分の子どもに、あの時のことを話できない人はもう、たくさんいるわけさ。戦争経験者もどんどん死んで、そのうち誰もいなくなる。何とか伝えなくちゃいかん。あんた、いい目してるよ。田良島さんと同じ目してるよ。どうやったら正しく伝えられるかどうか、わしには分からんけど、もし、あんたがそれ、考えてくれるというんだったら、わしは何でも話すよ」。和彦は「過去を知ることが、未来を生きるための第一歩だと思います。一生かけて考えます。お約束します。決意を新たにした。

 比嘉家。優子が帰宅。「今日はウークイだし、もう話してもいいよね。いつかみんなに話さないとねって、それがたった1つの親の仕事だって話していたよね」と賢三(大森南朋)の遺影に語り掛け「長い話になるけど、聞いてくれるね。お父ちゃんとお母ちゃんの昔の話」と暢子たちに向き合った。

 沖縄県出身のベテラン・津嘉山の名演が光った。SNS上にも「ここにきて圧倒的な存在感」「一瞬も目が離せなかったです」「沖縄出身だけに、いい味出してる」「津嘉山正種さんが凄すぎた。ずっと見ていたい。格が違う」「津嘉山正種さん、好きやわぁ。画面が引き締まるんだよね」「津嘉山正種さんの静かな語り口調といろんなもの背負ってきたかのような表情が素晴らしいわ」「津嘉山さんの一言一言かみ締めて伝える言葉に涙してしまいました」などと絶賛の声が上がった。

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