阪神・村上 愛読漫画「ハイキュー!!」でプラス思考に 「長かった」プロ初勝利は圧巻2安打完封

[ 2023年4月23日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神2-0中日 ( 2023年4月22日    バンテリンD )

<中・神> 初勝利を完封で飾りナインとハイタッチをかわす村上(右から2人目)(撮影・大森 寛明)
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 虎にも村「神」様が誕生!?阪神・村上頌樹投手(24)が22日の中日戦に先発し、プロ初勝利を2安打完封で飾った。12日巨人戦で7回無走者投球のまま降板した右腕は、この日も5回1死まで1人の走者も許さない圧巻の投球を展開し、相手打線に二塁すら踏ませなかった。完封によるプロ初勝利は2リーグ制以降で球団10人目となったが、2桁奪三振、無四球はともに同初の快挙。過去2年は未勝利と1軍の壁に苦しんだ3年目右腕がチームの連敗を2で止め、首位タイに押し上げた。 

 105球目で岡林を二ゴロに打ち取り、ガッツポーズ。弱気だったあの頃の自分は、もういない。村上は敵地でのヒーローインタビューで、プロ初勝利の味をかみしめた。

 「最高です!なかなか勝利できなくて、1軍でも登板が少なかったんですけど、やっとできて、うれしいです」

 この日の最速は147キロ。ロッテ・佐々木朗のような160キロ超の剛球はなくとも、村上には工夫がある。7回無走者投球で降板した前回12日の巨人戦同様に時折クイックを交え、随所に100キロ台のスローカーブもちりばめて緩急を操り、相手に付け入る隙を与えない。初回を3者連続三振で発進し、この日も5回1死で福永に中前打を浴びるまで無走者投球。救援登板した1日DeNA戦6回の先頭に安打を許して以降、37人連続アウトを積み重ねた。11イニング連続無走者投球は、球団では通算320勝の小山正明が56年に記録した13イニングに肉薄する快投。最終的には初の2桁10奪三振、無四球完封でプロ初勝利を彩った。

 1年目はウエスタン・リーグで最多勝、最優秀防御率、勝率1位の投手3冠も、2度の1軍先発機会はいずれも3回KO。昨春キャンプ後には「ヤギ(青柳)さん、西(勇輝)さん、(伊藤)将司さん、秋山さん、ガンケル。キャンプが始まる前に、もう(ローテーションが)5枠埋まっていた…」と弱音も漏らした。脳内につくり出した「1軍の壁」に逃げ腰になっていた。

 マイナス思考を変えたきっかけは愛読するバレーボール漫画「ハイキュー!!」。1メートル69と小柄なウイングスパイカー、星海光来の「小さいことはバレーボールに不利な要因であっても、不能の要因ではない」という言葉にハッとさせられた。「5枠埋まっているのは言い訳にしかならない。埋まっているなら自分で奪い取ればいいだけ」。角度がなくても、150キロ超のボールがなくても、緩急、制球力という持ち味がある。今春はキャンプから地道なアピールを続け、中継ぎとして開幕1軍入り。そして巡ってきた先発機会を、ものにしてみせた。

 「自信にして、慢心せずにまたバッターに向かっていく気持ちでやっていきたい」

 記念球は両親に贈る予定。初勝利に至る道のりを、「長かったです」と表現した“孝行息子”は、さらなる高みへ歩みを進める。(阪井 日向)

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2023年4月23日のニュース