甲子園どよめいた!!阪神・大山2年ぶり犠打 矢野監督必死の采配「やっていく」

[ 2022年6月3日 05:30 ]

交流戦   阪神6ー1西武 ( 2022年6月2日    甲子園 )

<神・西>7回 無死一、二塁 送りバントを決める大山(撮影・成瀬 徹)
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 甲子園がどよめいたのは、阪神2点優勢の7回無死一、二塁だ。5番大山が送りバントの構えをした。3万2831人の観衆が、即座に驚きの声で反応した。初球はボール。2球目も同じ構えをした。再度のどよめきの中で、お手本のように打球を殺して三塁前に転がした。右の主砲にとって20年9月13日広島戦以来、2年ぶりの犠打になった。

 「どうしても一番、点が取れるというふうになれば、そういうこともやっていく。一発で決めるのも簡単じゃないけど、普段やっていないのにね」

 矢野監督は、1点のための作戦だと強調した。それまで、チグハグの連続だった。2回無死一塁で小野寺が併殺打。3回は近本が盗塁死。4回は長坂の浅い中飛で、三走糸原が本塁突入を試みたものの憤死した。ガンケルの先制打まで、9安打で無得点という拙攻の連続だった。

 「流れ的に、ヒットは出て、点を取れないというのはずっと続いたんでね」という心の晴れないまま迎えた3点リードの7回に1点を返され、指揮官は勝負に徹した。前夜、3ランを放った際に、「ここからウチが上がっていくには、悠輔(大山)が打つのが絶対条件」とキーマンに指名した男に、あえて犠打のサインを出した。「1点取られた後で、この(次の)1点が相手に与えるダメージは大きい」と好機を1死二、三塁に広げると、糸原に大きな2点打が生まれた。

 今季最多17安打を放ち、昨年4月24日のDeNA戦以来となる先発全員安打をマークし、今季の甲子園最多6得点を奪いながらも、守備と走塁のミスも点在し、スッキリした勝利ではない。しかし、苦しかった分、全員で白星をつかみ取った印象も残した。「全体的に当たりが出てきている。それを、僕自身を含めてどうやって点につなげていくか」。小技を駆使しながら、戦っていく。(倉世古 洋平)

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2022年6月3日のニュース