阪神・ガンケル劇場!投げては2勝目、打っては決勝打含む3安打「高校以来ですね」

[ 2022年6月3日 05:30 ]

交流戦   阪神6ー1西武 ( 2022年6月2日    甲子園 )

<神・西>4回、右中間に先制の適時二塁打を放つガンケル(投手・隅田)(撮影・成瀬 徹)
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 ガンケル劇場だ!阪神のジョー・ガンケル投手(30)が、先発した2日の西武戦で決勝打となる来日初の適時打を放った。2、6回の安打とあわせ、球団投手では16年メッセンジャー以来となる猛打賞。投げても強力打線を7回途中5安打1失点に封じた。甲子園での今季初勝利を挙げ2勝目。チームは2カード連続の勝ち越しとなった。

 背番号49の一振りが、甲子園のよどんだ雰囲気を一変させた。4回2死二塁。拙攻続きの展開に、ガンケルがカツを入れた。

 「チームメートを還そうと思って、思い切り振っていきました」

 チームは3回まで7安打を放ちながら無得点。4回も無死二、三塁から長坂の浅い中飛でスタートした三走・糸原が本塁憤死で併殺となった。また0点に終わるのか――。そんな、虎党が描き始めた悪夢のシナリオに、待ったをかけた。2ボールからの3球目。隅田が投じた145キロ直球を右中間へ運んだ。

 「ピッチャーがヒットを打ったりして出塁するときは、チームに流れをもたらすことができる。攻撃面でも貢献できてよかった」

 来日初のタイムリー。チーム10本目の安打で待望久しい先制点を叩き出した右腕が、二塁上でクールに左手を掲げた。直近2試合は試合をつくりながら、ともに打線の援護点はなし。ならば、と自ら決勝点を叩き出すのだから頼もしい。2回2死一塁でも右前打、6回には2番手・ボーからも中前打を放ち、球団投手では16年メッセンジャー以来となる猛打賞を記録。「(3安打は)高校以来ですね」とニヤリと笑ってみせた。

 寡黙で真面目な姿勢が生み出した殊勲の一打だ。オープン戦期間中、鳴尾浜の残留練習では投手陣との練習を終えると、一人室内練習場に移動。1時間近くも打撃練習を敢行した。汗だくになった右腕の手には2本のバット。うち1本は折れていた。打撃手袋をボロボロにして取り組んだ努力が、今季の14打数5安打、打率・357につながっている。

 まさに、ガンケル劇場だった。本業の投球は6回1/3を5安打1失点。「勝つときもあれば負けるときもある。自分が投げて負けている試合でもチームの勝つチャンスをもたらせる投球を心掛けていた」。4月24日ヤクルト戦以来の2勝目、甲子園での今季初白星の美酒に浸った。お立ち台では「あまりバッティングには期待しすぎないでください」と笑わせ、お決まりの日本語で「タイガースファン、イツモアリガトウ!」と締めくくった。交流戦は5勝4敗となり、今季56試合目にしてチームは初めて勝率4割に到達。反攻の態勢を着実に整えつつある。(阪井 日向)

 《32年ぶりV打含む猛打賞》先発投手のガンケル(神)が4回の決勝二塁打を含む3安打。阪神投手の猛打賞は16年8月25日DeNA戦のメッセンジャー以来。V打を含む猛打賞は、90年6月16日巨人戦でキーオが3安打1打点して以来、チーム32年ぶり。

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