ソフトB武田 362日ぶり1勝!論語「中庸」の考え学び冷静102球7回1失点

[ 2020年8月29日 05:30 ]

パ・リーグ   ソフトバンク9―1日本ハム ( 2020年8月28日    ペイペイドーム )

<ソ・日>今季初勝利を挙げた武田は泉(右)からウイニグボールを受け取り笑顔(撮影・岡田 丈靖)
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 昨年9月1日以来、362日ぶりの勝利の味。ソフトバンク・武田はお立ち台で、日に焼けた笑顔を見せた。7回5安打1失点、102球を投げ終えるとマウンドから、誰よりもゆっくりとベンチに入った。

 「落ち着こう、落ち着こう、落ち着こうと思って投げたし(打線が)たくさん点を取ってくれたので緊張もほぐれました。穏やかな心で、頑張りました」

 昨年11月に右肘を手術。レギュラーシーズンの1軍登板は同年9月14日の日本ハム戦以来だ。ブランク明けの初回先頭。いきなり中前打を許し、2死から中田の右前打で1点を失った。
 動揺しかねない状況。しかし「気持ちに波を起こしてはいけないんです。凪(なぎ)まではOK」と心身を海に例え、最少失点で切り抜けた。

 投げた7イニングのうち、先頭打者を出塁させなかったのは3回と5回だけ。手術後に出合った、古代中国から伝わる言葉が動じないマウンドを支えた。「論語」などとともに儒教の四書の一つに数えられる「中庸」の考え方だ。その概念は「偏ることなく常に変わらない――」「過不足なく、調和がとれていること――」。今では「中庸」が口癖のようになっている。

 「手術後から考えを変えたんです。フォームでも間合いでも球でもない。脳みそだと。今(勝って)気持ちは上がっているので、落ち着かせる。気が付けば下がる。それが中庸です」

 逆に、味方打線から大量援護をもらってからも、浮つくことなく“中庸投球”を貫いた。最速151キロの直球に最遅117キロのカーブ。4種類の変化球の切れは抜群だった。6奪三振で四球は一つだけ。見事な復帰登板だった。

 チームは今季初の6連勝。貯金も最多を更新し「12」。工藤監督も右腕のカムバックを「ファームでも好投していて、肘も問題ないと報告を受けた上で、カーブに縦横のスライダー。彼の持ち味である緩急が良かったですね」と喜んだ。(井上 満夫)

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