槙原寛己氏 DeNAに勝利を呼び込んだ国吉 奪三振で雰囲気を変える

[ 2020年8月29日 23:12 ]

セ・リーグ   DeNA9―3ヤクルト ( 2020年8月29日    横浜 )

<D・ヤ14>DeNA・2番手の国吉(撮影・会津 智海)
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 【槙原寛己 視点】DeNAに勝利を呼び込んだのは5回から2番手で登板した国吉だ。この日のヤクルト打線は4連敗中だが活気があった。実際、4回に逆転したときは「連敗を止めるかな」と思った。その流れを国吉の3者連続三振が断ち切った。

 先発の大貫は球も高く、4回で代えたのは好判断だった。逆転を許し、1点を追う展開で、次に誰をマウンドに送るか。ラミレス監督にとっては難しい選択だったと思う。国吉は27日の広島戦(横浜)では1点リードの8回に登板している。その信頼している投手をあの場面で選んだのは、彼が流れを変えられる投手だからだ。次の攻撃回は先頭で投手の打順が回ってくることも考慮しただろう。

 1つの三振で雰囲気を変えられる投手がいる。DeNAなら国吉だ。ラミレス監督はこの試合を絶対落とせないと判断し、本来は勝ちパターンで使いたい投手をマウンドに送った。その采配が的中し、投手の中では打撃もいい国吉の中前打から5得点のビッグイニングも生まれた。

 6回の国吉は先頭の村上に四球を与えたが、続く雄平からはフォークできっちり三振を取った。ここで交代したのは9月1日からの巨人3連戦(東京ドーム)を見据えたからだろう。シーズン最初の天王山となる3連戦では、一番大事な場面で国吉を使ってくるはずだ。

 2位のDeNAは首位・巨人と4・5ゲーム差あるが、次の3連戦でどれだけ詰められるか。2勝1敗なら、まだペナントレースは分からなくなる。独走の巨人に追いつけるとすれば、DeNAか打線が調子を上げたときの阪神だと思っている。30日のヤクルト戦は小川が相手だ。2週間前にノーヒットノーランを食らった投手にリベンジして、巨人3連戦に勢いをつけたい。

 打線も好調なDeNAだが、唯一気がかりなのは山崎だ。この日も8回に投げたが、まだ本調子ではない。それでもこうして点差の開いた場面で山崎を起用し続けるのは、シーズン終盤までに調子を取り戻してほしいというラミレス監督の親心だろう。

 2軍でミニキャンプを行う手もあるが、フォーム改造を始めるとシーズンが終わってしまう可能性がある。過去に調子を落とした山崎を一時的に中継ぎ転向して復活させた経験則もある。DeNAが逆転優勝するためにはブルペン陣に山崎の存在が必要だ、ラミレス監督はそう考えているのだろう。(スポニチ本紙評論家)

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