楽天・内田 「覚醒」の予感を漂わせる右の和製大砲

[ 2020年6月8日 12:45 ]

<練習試合 ロ・楽>4回1死、内田は右越えソロを放つ(撮影・沢田 明徳)
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 右の和製大砲が「覚醒」の予感を漂わせている。楽天の内田靖人内野手(25)。高卒7年目のシーズンは新型コロナウイルスの影響で開幕が3カ月遅れとなったが、2年ぶりの開幕1軍に向けて猛アピール中だ。

 「自分は打つことを期待されていると思うので、打撃で結果を出すしかない」

 福島県いわき市出身。常総学院から13年ドラフト2位で楽天入りし、生え抜きの日本人の4番候補としての期待は大きい。18年は自己最多の12本塁打を放ったが、翌19年は開幕直前で2軍落ち。1軍では2試合の出場にとどまり、無安打のままシーズンを終えた。

 オフに野球人生の「転機」になるような出来事があった。「浅村さんから“自主トレを一緒にやらないか”と声をかけていただいたんです。自分も何とかしたいと思っていたので、本当にありがたかったです」。内田にとって、球界屈指の右の強打者の浅村栄斗内野手(29)は雲の上の存在だった。1軍にいた期間が短かったので会話を交わす機会もほとんどなかったにもかかわらず、オフの自主トレに誘ってもらった。

 愛媛県内での自主トレでは徹底的に体幹を鍛えた。浅村が「このトレーニングをやっておけば、キャンプの練習が楽に感じる」と言うほどハードで、内田も「2日目の朝はベッドから起き上がれないぐらいやばかったです」と振り返る。

 ただ、懸命に食らいついて体をいじめ抜いた成果は確実に出ている。フォームが安定することで打球の力強さが増し、自慢のパワーに磨きがかかった。現在の打撃フォームは浅村とうり二つだが、決して見た目だけを模写をしているわけではない。いくつかのポイントを意識することで自然に「完コピ打法」にたどり着いた。

 オープン戦では14試合で打率・333、4打点、1本塁打の数字を残し、練習試合でも好調を維持している。象徴的だったのが5日のロッテ戦(ZOZOマリン)でのアーチ。4回に特大の右越えソロを放った。師匠の浅村のような逆方向への一発は、内田の進化を証明していた。4日のDeNA戦(横浜)では9回にサヨナラ中前打を放つなど勝負強さも光る。

 誰からも愛される優しい性格の持ち主で、「気は優しくて力持ち」のイメージがぴったりだ。球界全体を見渡しても右の長距離砲は貴重な存在なだけに、「うっちー」のブレークを期待せずにはいられない。(記者コラム・重光晋太郎) 

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2020年6月8日のニュース