中京学院大中京 1番打者・高畠 話を聞くのがつらかった試合終了直後の取材

[ 2019年8月27日 09:00 ]

星稜戦の3回、中京学院大中京・高畠は空振り三振に倒れる(投手・奥川)
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 当コラムでは令和最初の甲子園大会で、スポニチ高校野球取材班が印象に残った選手や大会中のこぼれ話を、リレー形式で紹介します。第4回は、チーム史上初のベスト4進出を果たした中京学院大中京(岐阜)の1番打者・高畠和希外野手(3年)を取り上げます。

 仕事とはいえ、敗れた直後のチーム関係者に話を聞くのは辛いものがある。それが試合でミスをしてしまった選手なら、なおさらだ。20日の準決勝・星稜戦後、高畠が涙ながらに質問に答える姿に申し訳なさと感謝の気持ちが入り交じった。

 「走者を刺してやろうと思って、(ボールから)目を切るのが早かった」

 0―2で迎えた3回裏の守備。1点を追加され、なおも2死満塁で山瀬が中前打。打球は猛然とチャージして差し出したグラブの下をすり抜け、一塁走者まで生還した。岐阜大会から無失策を続けていた名手。準々決勝の作新学院戦では、2回に中堅後方の打球に背走し、フェンスに激突しながらジャンピングキャッチする好守を見せていた。

 明るい選手という印象だっただけに、涙は似合わないと思った。甲子園大会では試合の前後に、監督や選手らに取材する時間が設けられている。試合前の高畠はどの質問にもハキハキと答えてくれた。

 地元の明石市から岐阜の中京学院大中京へ進学したのは、小、中学校の先輩で16年夏の甲子園に同校で出場した小鶴純貴さんに憧れたから。初戦の北照戦で無安打に終わり、父・哲郎さんが宿舎まで来て「表情が硬いから、もっと笑顔でやれ」と励ましてくれたこと。そのおかげで次の東海大相模戦から、2試合連続で2安打できたことへの感謝。試合前日はぬるめの風呂に40分ほど浸かり、対戦する投手の攻略をイメージするのがルーティンになっていること。試合中はチアリーダー部の彼女が手作りしてくれたお守りを右ポケットに入れていることも話してくれた。メモを取る取材陣が“青春っていいなあ”という和やかな空気になったほどだ。

 ルーティンの効果か、初回先頭で奥川恭伸投手から安打を放ったが、打てなかった打席が脳裏に刻まれた。「甘い球が少ないし、変化球のキレが一級品だった」。3回はフォークにバットが空を切り、6回は膝元のスライダーに手が出ず連続三振。守備のミスをバットで取り返せなかった。

 試合後の取材が終了間際になった時、集めた甲子園の土を“誰か”に分けるのかを尋ねてみた。

 「彼女にも分けてあげようと思います」

 赤く腫らした目に笑みを浮かべてくれたことが何よりだった。
(石丸 泰士)

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