大谷 難病の1歳・翔平くん見舞う「頑張れって…常に頑張っているよね」

[ 2019年1月6日 05:30 ]

エンゼルスの大谷
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 翔平が、小さな翔平にエール――。エンゼルス・大谷翔平投手(24)が5日、大阪府内の病院を訪問。重い心臓病で入院している兵庫県尼崎市の川崎翔平くん(1)を見舞った。大谷にあやかって名付けられた同じ「翔平」。心優しい二刀流は翔平くんを抱っこするなどして激励した。メジャー2年目。伝説のベーブ・ルースのように、米国での心臓移植手術を待つ幼い命を励ます一発を海の向こうで放つ。

 「あったかいね」――。母・静葉さん(33)に促されて翔平くんを抱っこした大谷は、幼い命の鼓動を大きな手に感じていた。「ちょっと怖いなあ」と言いながら恐る恐る、きょとんとした表情の翔平くんを膝の上に抱きかかえた。

 2019年。新年を迎えて大谷が初めて公の場に姿を現したのは、大阪府内の病院だった。午前10時すぎにスーツ姿で訪問し、約2時間の滞在。ベッドに寝ていた翔平くんに会うと、柔らかい頬を指でなでながら「翔平くんっていうんだね。こんにちは」と優しい笑顔で声を掛けた。

 同じ「翔平」。翔平くんは、野球ファンの両親が「病気を乗り越えられる強い子に」と、二刀流で奮闘する大谷にあやかって名付けた。誕生直後に全身に血液を送る心臓の力が弱くなる「拡張型心筋症」と診断されて闘病中。国内の小児ではただ一人、補助人工心臓を左右2カ所に装着している。同じ名前という縁もあり、両親や友人らでつくる支援団体が面会を依頼。大谷は快諾した。

 「頑張れって…常に頑張っているよね」。この日は「頑張れ翔平くん」と書いた色紙やエンゼルスの帽子、サインボールをプレゼント。ボールを受け取った翔平くんの手からこぼれ落ちると、そっと受け止める「キャッチボール」のようなシーンもあった。難病の拡張型心筋症の根本治療には心臓移植が必要。米国への渡航や手術費用は約3億5000万円の見込みだ。大谷は両親に手術のための米国滞在について熱心に尋ね、そして「早くドナーが見つかるといいですね」と気遣った。

 あのベーブ・ルースの姿が重なる。ヤンキースのルースは1926年のワールドシリーズ直前、病気に苦しむ11歳の少年ジョニーを見舞って本塁打を打つことを約束。見事に果たした逸話がある。二刀流の大谷は昨季、19年のルース以来99年ぶりとなる「20本塁打&10登板」を記録するなど、さまざまな記録でも偉大な背中を追う。心優しきその姿も時を超えて同じだった。

 右肘を手術し、打者に専念するメジャー2年目。放たれる豪快なアーチは、きっと翔平くんを励ます意味が込められている。

 ▽拡張型心筋症 心臓の筋肉が薄くなり拡張して、収縮力が低下する病気。心臓のポンプ機能の低下により血液を十分に送り出せなくなり、動悸(どうき)や呼吸困難に陥る。悪化するとむくみや不整脈も現れ、心不全状態となることもある。免疫異常や遺伝、ウイルス感染が原因とされるが明らかではなく、指定難病の一つ。日本では約3万人が患者とされ、心移植以外に根治的療法はない。

 《募金呼びかけ》支援団体「しょうへいくんを救う会」ではホームページなどで募金への協力を呼びかけている。昨年末の段階で集まっている募金額は約2億3000万円。問い合わせは(電)06(7710)3850。

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