沢村初完封10勝 1安打投球で防御率1点台の快挙

[ 2011年10月9日 06:00 ]

<中・巨>プロ初完封で10勝目を挙げた沢村はバスの中で原監督(右)とガッチリ握手

セ・リーグ 巨人4-0中日

(10月8日 ナゴヤD)
 もはやエースの風格だ。巨人の沢村拓一投手(23)は8日、首位・中日をわずか1安打にねじ伏せ、プロ初完封勝利を飾った。4連勝で大学時代からの目標だった2桁勝利に、両リーグ新人一番乗りで到達。防御率1・97はリーグ3位に浮上し、66年の堀内恒夫(巨人)以来、史上5人目となるルーキー1点台の快挙も見えてきた。これで同カードは19回連続無失点。シーズン終盤に凄みを増してきた沢村が、原巨人の切り札となる。
【試合結果】

 バスへ乗り込むと、予期せぬサプライズに沢村の笑顔がはじけた。最前列に座っていた原監督ががっちり握手をした後に熱い抱擁。そしてカメラマンに向かって、ポーズまで決めた。1安打のプロ初完封で新人最多の10勝目。「大学の時から(10勝は)目標にしていた。(中大の)高橋さん(監督)に出会えなかったら僕はここにいなかった。伝えたいです」と感慨深げな表情を浮かべた。

 最速149キロの直球、スライダー、フォークが面白いように決まり、7奪三振、13個の内野ゴロ。中日相手に許した走者は、2回に弱い当たりで三遊間を抜けた平田の安打と四球による2人だけという完璧な投球だった。川口投手総合コーチは「監督賞もの。スターとはこういうもの。かっこいいな」と絶賛。「(シーズン序盤に)150キロ投げているときは力任せで投球に根拠がなかった。今は142、143キロでもゆったりリリースして打者の対応を見ながら落ち着いて投げている」と、成長に目を細めた。

 節目の白星に向け、用具も新調した。青のアップシューズを使っていたが、この日から黄色と赤を基調にメーカーのロゴが黄金の新品を着用。「失敗しちゃいました」と苦笑いを浮かべたが、さんさんと輝いた色は決意の表れだった。

 中大・高橋善正監督にも結果で恩返しした。佐野日大で野球を終えた3年秋の進路選択。縦じまのユニホームに憧れて東海大も考えたが中大に進学した。「監督には感謝してもしきれない。3年の秋に下位指名でプロに行けると思ったけど、監督の要求はもっと高い。プロに入ってすぐ10勝しないといけないと教わった」。白星に恵まれず6勝11敗と苦しんだ時期もあったが、4連勝で恩師の掲げたハードルをクリアした。

 ナゴヤドームでは10回を2安打に抑えた9月8日から19イニング連続無失点と驚異的な相性の良さを誇る。「あまり(球場を)意識していない」と話すが、敵地でのCSを想定した場合、沢村の存在は何とも頼もしい限りだ。

 史上初の球団から4年連続新人王はほぼ当確。66年の堀内恒夫以来、45年ぶりの新人防御率1点台も視界に入ってきた。「防御率は意識したい。チーム一丸となって死にものぐるいで向かっていく姿勢で頑張りたい」。成長曲線を描く黄金ルーキーの目は、すでに次を見据えていた。

 ▼巨人・原監督(沢村について)投手として理想のゲーム。自分のペースでの投球を心がけていた。総括するのは早いが、いい階段を上っている。

 ≪65年ぶり4人目≫ルーキーの沢村(巨)が1安打完封で10勝目。新人の1安打以下の完封勝利は藤原(楽)が09年8月5日オリックス戦(1安打準完全試合)でマークして以来になる。巨人では沢村栄が36年9月25日タイガース戦、中尾が39年11月3日セネタース戦でノーヒットノーランを達成。1安打は諏訪が46年7月22日金星戦で記録したのがあるだけ。沢村は65年ぶり4人目だ。また巨人の新人で10勝以上は03年木佐貫(現オ)以来10人目。2リーグ制後では57年藤田から木佐貫まで6人全て新人王を獲得しており沢村も続きたい。これで防御率は1・97と1点台に。セの新人で防御率1点台は59年村山(神)、61年権藤(中)、62年稲川(大洋)、66年堀内(巨)といて、このまま維持すれば5人目の快挙になる。

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