楽天・田中 12安打も2失点完投勝利

[ 2010年5月30日 19:35 ]

完投で7勝目を挙げ、笑顔を見せる楽天・田中

 八回を終え、楽天ベンチ内ではブラウン監督と田中がこんなやりとりを交わした。「まだいけるだろう」。「いけます」。既に113球を投げていたが、右腕は余力十分で2点リードの九回のマウンドに向かう。最後はピンチも招いたが、両リーグトップとなる5度目の完投を白星で飾った。

 「すぐ(完投数は)抜かれますよ」。もともと完投にはさほどこだわりを示さない。一人で投げ抜いたのは自己中心的な野心からではなく、ロスの少ない投球のたまものだろう。
 序盤は球が浮いて走者を背負ったが、右打者をシュートで詰まらせて打ち取った。内角を意識させ、容易に踏み込めなくなった相手に対し、低めへの制球を取り戻した後半は外角直球やスライダーで凡打させた。
 12安打を許したが「ゴロを打たせていたので気にしなかった」と言う。エネルギーを要する三振狙いよりも、効率的なスタイルを目指す21歳は、涼しい顔だった。
 ブラウン監督は「彼は万全の状態ではなくても素晴らしい投球ができる」。安定感を増す田中への信頼は、もはや不動のもの、といえる。

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2010年5月30日のニュース