【世界陸上】女子マラソン・松田瑞生、不屈の走りで9位も涙 入賞にあと一歩届かず「世界は強かった」

[ 2022年7月19日 00:39 ]

陸上・世界陸上第4日 ( 2022年7月18日    米オレゴン州ユージン )

世界陸上の女子マラソンに出場した松田(AP)
Photo By AP

 女子マラソンは18日の第4日に行われ、一山麻緒(25=資生堂)と新谷仁美(34=積水化学)が新型コロナウイルスの陽性が確認されたため欠場となり、日本勢で唯一の出場となった松田瑞生(27=ダイハツ)は2時間23分49秒の9位と入賞にあと一歩届かなかった。

 涙から再出発した。20年1月の大阪国際女子で快走。東京五輪への切符をほぼ手中にしたかに見えたが、同年3月の名古屋で一山麻緒に逆転された。補欠となり、内定会見では「気持ちの整理がついていない」と泣きながら話した。あの辛い経験も、今では前向きに捉える。

 「東京五輪のスタートラインに立っていたら私は陸上を続けていなかったと思う。この経験があったから今がある。そう言えるようになった」。再び競技と向き合い、今年1月の大阪国際女子を2年ぶりに制覇。2度目の世界選手権出場につなげた。

 5月10日からは米ニューメキシコ州のアルバカーキで2カ月におよぶ合宿を敢行。標高1800メートルを超える地で徹底的に追い込んだ。「(疲れなどで合宿の)後半にそのツケが来たけど、スタートラインに立てるところまできた。今できることを出し尽くして後悔のないレースをしたい」。初出場だった17年ロンドン大会の1万メートルでは19位。5年前とは実力も経験値も大きく上積みして今大会に臨んだ。

 スタートしてすぐの2キロ通過タイムが6分34秒と、序盤から異例のハイペース。松田は先頭集団についていかず、自身のペースを守って走り続けた。1周目を16位で通過したが、その後も焦らず一定のリズムで淡々と走り、じりじりと距離を詰めていった。

 2周目で12位にまで順位を上げた松田は31キロ付近で11位となると、35キロ過ぎで10位、36キロ過ぎで9位に浮上。そして41キロ付近で8位の選手に約2メートルにまで近づいた。だが、そこからスパートをかけられて追い抜くことはできず9位だった。それでも松田は序盤に先頭集団から大きく離されながらも、最後まで諦めない不屈の走りを見せた。

 レース後のインタビューでは「たくさんの方に支えてもらってサポートしていただいて立てたスタートラインですが、期待に応えることができず、申し訳ございませんでした」と涙を流した。

 「世界は強かった。この悔しさを糧に、次勝てるように。世界の猛者と戦えるように一から頑張っていきたい」と前を向いた。

続きを表示

2022年7月19日のニュース