2代目若乃花、下山さん 優しい性格 細かい“気配りの人”だった

[ 2022年7月19日 05:25 ]

元横綱・2代目若乃花、下山勝則さん死去

1977年5月、初優勝を飾り笑顔で賜杯を手にする第56代横綱の2代目若乃花(当時若三杉)
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 【悼む】下山さんが現役時代に所属していた二子山部屋は猛稽古で知られていた。上下関係も厳しく、耐えられなくなった下山さんは一緒に青森から入門した高谷さん(元横綱・隆の里)と郷里に帰ろうとした。しかし、たまたま手にした地元紙に、郷土の期待の星と書かれていたのを見て心を改めたと聞いた。

 会食中の店で、偶然知人の姿を見つけると、その人の分まで気づかないように支払いを済ませる細かい気配りをする人だった。現役時代は甘いマスクで同じ部屋の大関・貴ノ花と相撲界の人気を二分。当時は力士がテレビCMに出始めた頃で、2代目若乃花は引っ張りだこだった。同い年の北の湖さんはよく「あいつは売れっ子だから金持っているよ」と冗談で言っていた。

 柔らかい足腰と懐の深さで横綱まで昇進したが、その素質からすればもっと優勝回数を伸ばしてもおかしくなかった。ケガなどもあったが、優しい性格がそれを阻んだのかもしれない。健康問題で相撲界を離れ、勧誘した照ノ富士を最後まで育て切れなかったのは心残りだったろう。(スポニチOB、東京相撲記者クラブ会友・龍川裕)

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