【羽生結弦、語る 会見(6)】尽きぬ探求心「理想の形のフィギュアスケートをさらに追い求めたい」

[ 2022年7月19日 19:43 ]

天を見つめ質問の答えを考える羽生結弦(撮影・小海途 良幹)
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 フィギュアスケート男子の羽生結弦(27=ANA)が19日、都内で記者会見を行い、競技の第一線を退き、プロ転向を表明した。14年ソチ、18年平昌と男子では66年ぶりの五輪連覇を達成し、4位だった22年北京ではクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)への挑戦が世界初認定。伝説を刻んできた勝負のリンクに別れを告げた。

【羽生結弦、語る 会見(6)】

 ――今後、競技会の緊張感が恋しくなったりはしない?
 「そうですね。競技会の緊張感が恋しくなることは絶対ないと言い切れます。それは先ほど、話した中で、いろいろ、考えている、今後の活動についていろいろ考えているという話をした中で、絶対に競技会としての緊張感だったりとか、そういったものを味わってもらえるようなことをしたいなと思っていて、別に競技会つくったりとか、大会つくったりとかは考えていないんですけど、やっぱり、みなさんが好きな、みなさんが応援したくなるような羽生結弦って、やっぱり、なんか挑戦し続ける姿であったりとか、あの独特な緊張感があったりとか、そういった中での演技だと僕は思っているので、そういうものを、また感じていただけるような、みなさんも『競技者じゃなくなったから気、緩むな』みたいな感じで見られようなスケートじゃなくて。より毎回、緊張できるような、本当に全力でやっているからこその緊張感みたいなものを、また味わっていただけるようなスケートを常にしたいと思っているので。それ(緊張感が恋しくなること)はないかな。むしろ、もっと緊張させてしまうかもしれないし、もっともっと緊張するかもしれないですし、僕自身も。でも、そのぐらい一つ一つの演技に自分の全体力と全神経を注いで、本当にある意味では、死力を尽くして頑張りたいなと思っています」

 ――羽生選手が活躍した時代は4回転が過熱した時代だった。その時代を振り返り、今後に期待することは?
 「えーと、そうですね。僕がフィギュアスケートを始めて、すごくあこがれを持った、フィギュアスケートのトップの選手たちにあこがれを持った時代は4回転ジャンプがプログラムの中に2本入っていたら、すごいことだったんですよね。で、今の時代みたいに4回転ジャンプが何種類も何種類も跳ばれるわけではないですし、まあ1種類で2本だったり、トリプルアクセルがあったりとか、そういった時代でした。それから、また4回転がなくなったりとか、4回転跳ばなくても勝てるような時代が来たりとか、いろいろあって今、現在に至っています。でも、僕が好きだった、僕が好きだったというか今もそうなんですけど、僕が好きなフィギュアスケートって、やっぱり、僕があこがれた時代のスケートなんですね。なので、あの時代に4回転3本跳んだら優勝なのかと言われたら、そんなことはなくて。トリプルアクセルいっぱい跳んだから勝てるのかといったらそんなこともなくて。なんか、もっともっと心から何かを感じられるような演技、この人の演技を見たいなって思ってもらえるような演技をこれからもし続けたいと思っています。僕自身がそういう演技をこれまでもやってこれたかどうかは、ちょっと自分だけでは評価し切れないんですけど、でも、これから…うーん。ふふっ。これからは僕自身がそういう演技をもっとしたいと思っていますし、これからも競技フィギュアスケート界っていうのが、またルールも変わったりとかして、毎年ルールが少しずつ変更になるんですけど、また、いろんなことがあるかもしれないですけど、僕は僕の、僕が大好きだった時代の、僕が追い求めている理想の形のフィギュアスケートをさらに追い求めたいなって思っています。(これで)大丈夫ですか?」 

 ◇羽生 結弦(はにゅう・ゆづる)1994年(平6)12月7日、宮城県仙台市出身の27歳。4歳でフィギュアスケートに出合い、08年に全日本ジュニア選手権で初優勝。全日本選手権は6度制覇、世界選手権で2度の金メダルを獲得し、五輪は14、18年と連覇を達成した。1メートル72。

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