バレーボール“ガイチJAPAN”いざ反転攻勢!「せこい、しつこいバレーを」

[ 2019年4月24日 10:00 ]

2020 THE PERSON キーパーソンに聞く

W杯で表彰台を狙う中垣内監督(撮影・西尾 大助)
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 バレーボール男子日本代表にとって19年は勝負の年になる。昨年の世界選手権で過去最低の1次リーグ敗退に終わって解任論も浮上した中、続投となった中垣内祐一監督(51)は反転攻勢を期す。20年東京五輪の前哨戦に位置付けられるW杯(10月、福岡など)を控える“ガイチジャパン”の新シーズンに向けた構想を聞いた。 (河西 崇)

 就任3年目。東京五輪は1年5カ月後に迫っている。ここまで監督として2つの大きな国際大会を経験した。17年ワールドグランドチャンピオンズカップでは5戦全敗で最下位の6位。2大会ぶりに出場した18年世界選手権も98年の15位を下回る過去最低の1次リーグ敗退と期待を裏切る結果に終わった。

 就任前には人身事故を起こし、新チームの始動が指揮官不在という「イレギュラー」な状況から出発した“ガイチジャパン”。昨秋には中垣内監督に協会内から解任論が浮上した。解任騒動に話が及ぶと、真剣なまなざしに切り替わった。

 「(解任論が)出たのは事実。そういった話が大勢であれば解任されていたが、そうではなかった。問題があると思われたポイントを反省し、改善する努力をこのオフにしてきた。フランスに行ってフィリップ・ブラン・コーチとも策を練ってきた」

 ここまでの2年間は試行錯誤の繰り返しだったという。17年は2メートル台の選手を5人そろえた「史上最高ジャパン」を結成。昨年は高校在学中にVリーグデビューを飾った新星の西田有志ら若手と福沢達哉らベテランを起用して苦境の打開を図ったが、肝心の世界選手権では故障者が相次ぎ無念の失速に終わった。

 「1年目はオポジット(セッター対角)が戦力的に手薄で真ん中からのクイック多用ということでスタートした。これは各国に日本のバレーが変わったとアピールはできた。2年目は西田が加わり攻撃の幅が広がった。福沢も入りサーブレシーブが安定し、1年目より上積みされた。各国にいつでも勝てるチームではなくなったと思われるようになったことは収穫」

 五輪前年のW杯では内容だけではなく、開催国として意地を見せる必要もある。三度目の正直。19年は周囲の批判を“結果”で黙らせるという気概で挑む。

 「強化の根本に関して言うと間違えてはいない。正しい方向に正しいステップが踏めている。ただ、評価をされるグラチャン、世界選手権で力を出し切れなかった。今季と来季で、改善したということがうまく伝わるようにしていく。結果で見ていただくのが一番簡単ですね」

 中垣内監督が目指すバレーのキーワードは「カオス・シチュエーション(混乱の局面)」。ミドルのクイックを多用するようになった日本のスタイルは欧州でも認知され、日本戦のためだけに対策する国も出てきた。それを上回る技術や戦術が浮沈の鍵を握っている。

 「日本のバレーを一言でいうと“せこい、しつこい”。日本には特別な大砲も、切れ味鋭い刀もないが、相手を混乱させるような、音を上げるような拾って拾って拾いまくるところに勝機を見いだす。そこに特化していきたい。拾ってつないで、相手を混沌(こんとん)に持ち込む。カオス・シチュエーションをつくれるか。その中から勝機を見いだしていきたい」

 就任後のベストゲームはサーブが決まった試合だという。生命線「サーブ」が効果的に決まり始めれば相手をカオスに陥れるチャンスが広がる。世界選手権最終戦、フルセットで勝利したアルゼンチン戦ではサービスエースが9本だったのに対し、ストレート負けした初戦のイタリア戦では3本。サーブが一つのバロメーターになっている。

 「全日本男子のベースはサーブでどんどん攻めていく。サーブが走らないと勝てない。西田、柳田、石川のサーブが入って崩していく。そういうときはいいバレーが展開できている。ネーションズリーグでは(格上の)イランやイタリアにも勝てた」  新シーズンへ向けて昨年の世界選手権の代表メンバーを中心に24人の代表候補を発表した。セッター藤井直伸や柳田将洋ら故障を抱えた選手もおり、新たな戦力の発掘は急務。5月のネーションズリーグ、9月のアジア選手権を経て、10月のW杯に照準を合わせていく。

 「1つ2つのポジションで新しい戦力が入るかもしれない。アジア選手権できっかけをつくって、W杯で爆発させるくらいの感じでいきたい。ここでバレーを盛り上げて、東京五輪に行きたい。男子は女子に比べて日本の皆さんの前でバレーをやる機会に飢えている。W杯は、表彰台をかっさらいたい」

 世界ランクは就任時の14位から昨季は11位まで上がったことを見ても「緩やかな回復基調」段階にいることは間違いない。男子日本代表にとっても中垣内監督にとっても勝負の19年。指揮官の“トス回し”に注目したい。

 ◇中垣内 祐一(なかがいち・ゆういち)1967年(昭42)11月2日生まれ、福井県福井市出身の51歳。筑波大在学中の89年に日本代表初選出。92年バルセロナ五輪などに出場し、94年には日本代表主将を務めた。04年に現役引退後は、堺ブレイザーズ監督などを経て、16年に日本代表監督に就任した。現役時代のポジションはオポジット。愛称は「ガイチ」。

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