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小さな川からギョギョギョ 104センチソウギョ 過去2番目の小ささだけど…立派な“怪魚”

[ 2022年8月2日 07:11 ]

筆者が釣ったソウギョは104センチ
Photo By スポニチ

 【釣遊録】毎年夏のイベントは、怪魚とも呼べる巨大魚釣りです。1メートルを超える淡水魚を釣る機会は一生のうちで何回もないと思っていましたがそうではありませんでした。

 中国4大「家魚」の一つ、ソウギョは利根川水系でしか繁殖が確認されていないとされている特殊な魚です。

 卵が水面を流れる浮遊卵であるため、流程が長くない川だと、ふ化する前に海まで流されてしまうので繁殖できません。主食は水草、藻類なので、藻の駆除のために各地で放流されたソウギョが巨大化して釣られた話は聞きますが、稚魚が釣れないことから繁殖には至っていないように考えられます。

 今回釣ったのは埼玉県の元荒川。私のソウギョマスターは市川満さんです。私も通い始め3年目の通算8回目で最初の1匹を釣ることができました。簡単には釣れません。今でもそうです。詳細な情報は一切流れませんから「そろそろいいかな」という頃に通うしかないのです。

 季節は夏です。一昨年まで、埼玉県条例でソウギョの産卵を保護するために5月21日から7月20日まで禁漁期間でしたが、食用や漁業価値がないためからかあるいは昨今の外来魚バッシングブームからか、昨年より保護しなくなり、禁漁期間がなくなりました。

 釣行した日はやや増水気味でした。すでに3カ所を回った市川さんと合流し、アシの葉を餌にした釣りと、パン流しを試みました。アシの葉を少しかじられただけの当たりを得ただけでしたが、午後2時、5カ所目のポイントで川の中央にソウギョのような引き波を見つけました。その引き波はソウギョらしく左右に揺れていたので、その方向に流したつもりが外れて、コイが浮いてきました。ここでコイをか掛けてしまったらソウギョは逃げるので、ロッドを引いてそれをかわしました。パンがちぎれコイはそれを追いかけていきました。そして3投目。

 流れていくパンに大きな引き波が寄ってきました。最も興奮する瞬間です。そしてパンの周りでトイレのフラッシュのように渦巻きが起こりそれと同時にベイルを戻すとズシッとロッドに重みが加わりました。

 ヒットです。フックはマスターがナイフのように研いだものを使っているので合わせなくても掛かるのです。

 ドラグがうなりラインが出ていきます。魚はそれほど大きくはないのですが、この狭い川の中を走り回ります。下流に走られたら大変なのでアユ釣りのオトリ操作テクニックで上流に来るように誘導します。

 50メートルほど上流にいるマスターに手を振ってもなかなか気付いてくれません。それどころか5分後、「釣れた?」とのんきに声を掛けてきて「あれ?掛かってるじゃない」とそれから事態に気づき、慌ててラバーネットと、ビニールシートを持ってきてくれました。

 大物は釣るのも大変ですが、釣り上げた後も大変なのです。ラインが8ポンドなのでゆっくりやるしかありませんが、写真を撮ってもらって「そろそろお願いします」とネットを用意してもらった頃には20分を過ぎていました。ビニールシートを敷いて水をかけ測ってみると全長104センチでした。過去2番目の小ささでしたので重さは量りませんでしたが十分な巨大魚です。

 これをリリースしたところでまだ時間はあったのですが、埼玉名物のゲリラ豪雨に見舞われ諦めて帰路に就きました。(東京海洋大学客員教授)

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