“秘宝”でカワサギ遊山 秋風を感じのんびりと

[ 2020年9月24日 10:44 ]

“おの”にボートを浮かべてワカサギ釣り                             
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 【釣り日和】秋の訪れとともに各地でワカサギ釣りが始まった。群馬県赤城大沼は1日解禁。トップ300匹超の日もあり順調に釣れている。秋風が吹き抜ける山上湖を訪れた。(笠原 然朗)

 作家・深田久弥は著書「日本百名山」の中で「赤城は、登山というより逍遥(しょうよう)という言葉のあたる、大きなプレイ・グラウンド」と書いた。巨大な山の連なりの中にひっそりと水をたたえる“秘宝”が赤城大沼。別名「おの」。標高1350メートルの水面には秋風が渡っていた。

 ボートで沖合までこぎ出して、アンカーを打ち、カラバリのハイパーパッニック仕掛けでワカサギを狙う。“ソロ”を楽しむのんびりとした釣りだ。

 漁協では今季、北海道西網走湖、神奈川県芦ノ湖、山梨県河口湖産のワカサギの卵を約2億粒入れた。漁協の組合長で青木旅館6代目当主、青木泰孝さん(70)によると「現在釣れているのは14センチ前後の2年魚が中心」とのこと。

 大きな「プレイ・グラウンド」の中で“おの”のワカサギ釣りは重要な観光資源。毎年2万人が訪れていた。だが11年の東日本大震災による福島第1原発事故で飛散した放射能が風に乗り、遠く離れた赤城大沼も大きな被害を受けた。

 放射性セシウム濃度の検査を繰り返し、釣れたワカサギを全て回収するなどの国の出荷自粛要請が解除され、釣り人が釣果を持ち帰ることができるようになったのは17年9月のシーズンから。事故から6年半たっていた。

 馬の背でボートを浮かべていたのは富士見町の阿久沢直人さん(37=自営業)。今年、氷上で初めてワカサギを釣って「“ドハマリ”しました。ボート釣りは2回目。無心になれるのがいいですね」と話した。

 学園前など「ポイントを10回以上、移動した」と話すのは前橋市の鈴木功さん(49=公務員)。魚探搭載で電動リールの2本竿の本格仕様。赤城大沼はホームグラウンドだが「反応はあるけど食わないね」と大ベテランも苦戦していた。ポイント選びが釣果を左右するようだ。

 竿先をひったくるような当たりが来た。“おの”の姫はどんな顔をしているのか?

 ボート釣りは11月いっぱい。来年1月10日前後から氷上釣りが始まる。

 ◯…青木旅館の創業は1875年(明8)。文豪の宿としても知られ志賀直哉、芥川龍之介、高村光太郎、与謝野鉄幹・晶子夫妻らが訪れた。志賀は赤城山を訪れ短編小説「焚火」を書いた。

 【短歌】

大赤城北上(きたかみ)つ毛の中空にそびやぐ肩をあきの風吹く
与謝野晶子著・歌集「舞姫」から

※上毛(群馬)の北にそびえる赤城山の雄大な峰々を秋の風が吹きわたっていく

 ▼釣況 青木旅館=(電)027(287)8511。ワカサギ釣りに宿泊が付いたお得なプランも。

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