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ロッドがボキッ!ニジマス56センチ

[ 2020年9月12日 07:02 ]

ロッドを折りながら56センチのニジマスを釣った下畑健一郎さん
Photo By スポニチ

【奥山文弥の釣遊録】山梨県東部を流れる桂川に、下畑健一郎さんと一緒に出掛けた。彼はIT関係のバリバリなビジネスマンで、サイクリングが大好きと実にパワフル。私のフライフィッシングイベントには必ず参加してくれる。

 過去3回の桂川釣行では70センチオーバーを含む大型マスが目の前に泳いでいたが、釣り上げることはできなかった。その時に中村渚さんが釣った54センチは、他人の魚ながらとても興奮し感動したのだそう。そして将来への希望にワクワクし「絶対に釣ってやる」とリベンジに燃えていた

 それから2カ月あまりで、4回目のチャレンジとなった。渓流釣りのセオリー「雨後の大物」通り、間違いなく大マスの予感プンプン。気持ちははやるが、大物は早朝、夕方しか釣れないのが常なので、昼間はヤマメが多い場所でライズを狙った釣りに挑戦した。

 使用タックルはロッドがキャップスステッド8・3フィート。ラインはスープラエキスプレスW F3/4Fリーダーは9フィート6Xの先端を50センチカットし、フロロカーボンの0・3号(トルネード鮎)を1メートル足して3・5メートル、フライは20番前後のミッジをセット。

 ライズする魚も賢くてなかなかヒットしないが、ランチを挟み30センチ前後のニジマス数匹と、20センチ前後のヤマメ数匹を楽しんだ。

 そして日が陰ったころ、前回、大物を見つけた場所へ行ってみると、淵の下流から黒い大きな影が泳いでくるのを発見。大きなニジマス、それも3匹。一番大きいのは60センチを超えていそう。私たちはすぐに投げず、まずは水中で何を食べているかをじっくり観察することに。

 ロッドはあらかじめ用意しておいた6番に変更し準備万端。魚は一カ所にじっとしているのではなく、同じコースをゆっくり行ったり来たりしていることが分かった。ヤマゲという栗虫を模したフライを選び、立ち位置を決め大きなマスが現れた時に「今だ!」。キャストした下畑さんのフライは、魚のコースよりちょっとズレた位置に着水した。

 「しまった!」と感じたようだが、過去の経験からすぐに投げ直さずそのままフライを流していく。すると魚がコースを変え、彼のフライに近づき「ぱく!」。音が聞こえるかのように、はっきりと見えた。ボキッ!瞬間的に合わせを入れた瞬間、魚がジャンプ。え、ボキッ?バシッ!じゃないの?

 そう、合わせと同時にロッドが真っ二つに。折れたままのロッドでファイトし、暴れ回るマスを制し3分後、無事にネットイン。56センチ、2・5キロのグラマラスなニジマスだった。胴回りはなんと34センチ。このサイズの平均的なマスなら30センチほどだから、いかに太っているかが分かる。おめでとう。喜びと同時に下畑さんは凄いことをポツリ。「さっきいた60センチオーバーじゃなかった。前回見た70センチオーバーはいませんでしたね」。しっかり観察していた。

 誰かに釣られてしまったのか、あるいはたまたま姿を見せなかったのか…。「とりあえず釣れてひと安心、今後はあの70センチオーバーを目標にします」。優れたビジネスマンは釣りでもしっかり目標を立て、着実に進んでいこうとするものなのだ。 (東京海洋大学客員教授)

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