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深海550メートルから釣り上げた 魅惑のアブラボウズ

[ 2020年8月26日 07:01 ]

中田さんは最後の1投で初のアブラボウズを一荷
Photo By スポニチ

【菅野順也の釣り巡礼】茨城県平潟沖の水深550メートルでアブラボウズを狙った。イカ1匹を丸のみする夢のビッグモンスターは100キロ超も狙える。食味も絶品だ。(スポニチAPC・菅野 順也)

 「一年中、出船ができる限り狙えます。脂が乗った身も一年中おいしさは変わりません。餌は基本的にスルメイカ、またはヤリイカの1匹付けですが、タコの足も実績が高いです」と第十五隆栄丸の舵(かじ)を握る鈴木和次船長が話す。

 航程2時間半で水深550メートルのポイントへ到着。仕掛けはごくシンプルな胴突2本バリ。ハリは35号。モンスター相手に小細工は無用、飾り物はハリに付けるタコベイトのみで十分だ。それぞれのハリにスルメイカを丸ごと1匹装着して投入した。

 500号のオモリが海底に届くと「根の中に魚がいるから、底ダチを小まめに調整してください」と鈴木船長のアナウンス。どんなに水深があっても特殊な釣り方ではなく、底付近のタナをしっかりキープするのが食わせる近道だ。さらに鈴木船長は「ここから深くなっていきます」などと魚探に映る高低差も知らせてくれるので、集中して微調整を繰り返す。

 「来たよ!」と声が出た、川崎市・鈴木健一さん(40=会社員)は「私の記録は62キロ。釣っても食べても私にとってアブラボウズほど魅力のある魚は他にないですね。塩焼き、西京漬けはもちろん、さつま揚げにもできますよ」と船中1匹目の30キロ級を浮上させた。

 海なし県の群馬県在住だからこそ、あちこち釣り歩いているという、高崎市・高野由博さん(44=薬剤師)は「深海は釣れる魚のサイズと味が魅力ですね。大自然に溶け込んだようなワクワク感もありますよ」と30キロクラスをキャッチ。

 続いて私の竿にも魚信が伝わった。穂先が「ツンツン」とわずかに動いている。巨体に似合わず前当たりは微弱、警戒心が強く一気にはのみ込むことはない。

 糸を送ることはせず、そのまましばし待つと「ゴツン」と一回竿が入った。これがハリ掛かりの合図。巻き上げに入るとドラグが滑り空回りした。レバーを倒して強めるとようやく回転し、巻き上げに20分。濃紺の海にゆっくりと影が見えてきてギャフ2本で取り込んだのは39キロ。自己記録更新だ。

 最後の投入まで一人だけ釣果がなかった、川口市・中田由多可さん(47=建築業)は「憧れのアブラボウズを釣りたくて、徐々に深い海に挑戦してきました。ようやく巡り合えました!感無量です」と、なんと中田さんの初物は20キロクラスのダブル。全員釣果となった。

▼当日使用のタックル ハリス=ヤマトヨテグス・フロロプロハリス30号、幹糸=同50号。仕掛け金具=下田漁具「オールステンレスストロング親子6/0×4/0」「ストロングスイベルトーナメントスナップ付2/0」、タコベイト=同「ヤコウクラゲ」5号各色。

▼釣況 東日本釣宿連合会所属、平潟・第十五隆栄丸=(電)0293(46)3980。出船時間、乗合料金は要問い合わせ。

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