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苦節25年の感動“年なし”クロダイ

[ 2020年5月30日 07:16 ]

ガッツポーズまでさせてくれた55・7センチの“年なし” 
Photo By スポニチ

 【私と釣り】長年釣りをしていると、忘れられない魚との出合いがある。私の場合は“年なし”のクロダイ。これまで経験したことのない鋭い引き。姿を見た時の感動。今でもしっかり脳裏に刻まれている。(スポニチAPC・山本 有道)

 2012年(平24)3月22日のことだからもう8年前になる。その日も「50センチオーバーを釣りたいなあ」と思いながら、静岡・清水の山本釣船店の山本光男船長=写真=の船に曳航(えいこう)されて袖師というポイントへ。

 オカラダンゴを10個ほど落としてから釣り開始。水深は10メートルちょっと。オキアミ、大粒アミと食い込みの良い付け餌を交互に使っていたがきれいに取られてしまう。しばらくしてショウサイフグが釣れた。「フグ来りなばチヌ遠からじ」という言葉を信じ、じっと竿先を見つめ続けた。

 餌を生サナギに替えた時だった。竿先がモゾモゾッ。合わせると重い。リールを巻けばその分ラインが出ていく。横にも走る。ひょっとしてボラ?だが引きはシャープで本命と確信。姿が見えた。これまで見たことがないようなクロダイではないか。無事タモに収まった時はホッとして力が抜け放心状態?これが恋焦がれていた55・7センチ!

 記事には「ちょっとオーバーに言わせてもらえば“苦節25年”ついにやりました。感激!」「年がいもなく拳を握り締めガッツポーズまでしてしまった」なんて書いたことを覚えている。そう、かかり釣りのクロダイを始めて25年。47センチ、45センチ…40センチ台はあったものの“年なし”は初めて。その喜びよう、今思うとちょっと恥ずかしい!

 山本釣船店では50センチオーバーを釣ると写真を撮り、魚拓、それに「捕獲 黒鯛(だい)五拾超」のシールがプレゼントされる。私の部屋には、この“3点セット”が宝物として飾られている。

 ○…かかり釣りのクロダイっていいなあ…と魅力を感じたのは、まずマイペースで楽しめること。好天の時は富士山を眺め自然の中に溶け込んでしまう。昼食は舟まで運んでくれ、冬は暖をとるコンロも。昔から“大名釣り”と言われているゆえんだ。仕掛けもシンプル。道糸、ハリスは通しで1・5号、太くても2号。こんな細さで引きのいいクロダイと“対話”できるのだから掛かればスリル満点。またオキアミ、大粒アミ、モエビ、コーン、生サナギ、ボケ…餌も多彩だ。

 ▼釣況 東日本釣宿連合会所属、清水・山本釣船店=(電)054(352)3217。午前5時半出船。料金1人乗船1万1000円(餌込みの平均)。

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