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魚も人も“食いつく”究極のルアー 餌より釣れる!!“神様”が選んだ逸品

[ 2020年5月9日 07:20 ]

ソウルシャッドで釣ったブラックバス(琵琶湖)
Photo By スポニチ

 【奥川文弥の釣遊録】ゴールデンウイーク中、私はたまっていた動画を編集したり、部屋を片付けて断捨離したり、釣り具を触って過ごしました。釣り具といえば、あり余るほど持っているのがルアーです。
 カッコいいと思って始めたルアー。「偽物で魚をだまして釣る」、「これがスポーツフィッシングの極致」とばかりにハマっていきました。その過程でいつも「釣れるルアーとは何か」ということを考えていました。

 近年の最新型のルアーは魚の生態や食性、そして使いやすさも考えてデザインされていますから、釣れる可能性は高いです。可能性と言ったのは、ルアーが偽物である以上、「絶対」はないのです。さらにルアーには歴史があり、先駆者たちが創意工夫を重ねて出来上がってきていることを知っておくと面白いです。現代の日本製のルアーの場合、ほとんどは歴史ある海外のルアーのデザインを基に作られています。歴史あるオリジナルよりもコピーした日本製の方が有名になってしまっているケースもあるほどです。

 ルアーが日本に入ってきて文化的にはやりだして60年以上たった今、星の数ほどあるルアーをどうやって選んで使いこなせばいいのでしょうか?

 極論ですが、魚がスレていない場合、どんなルアーでも釣れます。魚食魚の場合、動いていればなんでも食いつくんです。分かっている方も多いと思いますが、ある程度ルアー釣りに慣れてきたら釣果優先か?遊び心優先かで決めるといいと思います。
 釣果優先なら最新型のタックルで最新型のルアーを使うことをお薦めします。
 ルアーの神様と呼ばれるルアーデザイナーの加藤誠司さんに聞きました。餌より釣れるルアーがあるのかと。答えは彼がいくつもデザインしたルアーの中で餌よりも釣れると思ったことのあるルアーはたった一つ。「ソウルシャッド」だそうです。ブラックバスを釣るために作ったルアーですが、小魚を餌に釣るよりも釣れたことがあるそうです。

 私もいろんな場所で試しましたが、このルアーの完成度は素晴らしいです。

 ヘドンの「ザラスプーク」というルアーは、水面で動かして魚を誘うトップウオータープラグですが、一見すると「ウキ」と同じ形です。棒のようなものです。創始者のヘドンさんは、池のほとりで木の枝を投げて遊んでいた時にそれに魚が食いついてきたのをヒントにルアーを作り始めたそうです。このタイプのルアーを「ペンシルベイト」とも呼びますが、加藤さんはダイワ精工(元グローブライド)で、サラリーマンとしてルアーデザイナーをしていた時、エラがついた「TDペンシル」をいう画期的なルアーを開発しました。TDとは今は懐かしいチームダイワです。私はこの頃、師匠の西山徹さんと一緒にダイワのテスターをしていましたが、このルアーは爆発的に釣れました。ソウルシャッドよりも先に「餌」の愛称をつけたルアーです。今では各社がエラ付きルアーを出しています。 最も大切なことは、このルアーで釣りたい、あるいはこのルアーで絶対に釣れるのだと信じることです。
 そしてもう一つの事実、ルアーは魚を釣るためにあるものですが、釣り人もルアーにだまされ釣られているということです。魅了されるだけでなく、アクセサリーのように、コレクションのように。知らないうちにたくさん増えてしまっているものなのです。
(東京海洋大学客員教授)

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