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三宅島で“日本新” カンムリベラ1・7キロ

[ 2018年10月20日 10:07 ]

武内さんが釣ったカンムリベラ。現在、日本記録申請中
Photo By スポニチ

 【釣遊録】三宅島に行ってきました。目的は海底調査です。堤防の周りは釣りの餌などによって汚れ、海洋生物に影響を与えているかどうか、水質の検査と目視による観察をするのです。東京海洋大学と釣り餌のマルキユーとで共同研究をしている「釣り餌と環境」の一環で始まりました。

 三宅島は雄山が00年7月に噴火し9月から避難開始、05年2月まで4年5カ月にわたり閉鎖状態でした。そこに私たちは目をつけました。

 避難解除で帰島する島民の応援と、好漁場を目当てにこれから増えるであろう釣り客の増加で、何もしていなかった4年半の海底がどう変わっていくのかを見ることができるからです。一般人の渡航が解禁になったのはその年の5月。私たちは特別許可を得てそのちょっと前の4月下旬に渡航しました。

 当時はガスマスクを携行しないと三宅島には入島できませんという案内に身が引き締まったのを覚えています。

 現地では、港や住宅の改修工事が急ピッチで行われていました。幾つかの定点ポイントを決めるため、高濃度ガス発生地域を除いて港周りを潜ってみました。港内の潮通しの悪い場所は除き、それはそれは奇麗な海でした。イセエビやサザエも採らないので大型化し、たくさんいました。一部潮通しの悪いところには火山灰もたまっていました。

 さて釣りの方はと言いますと、すでに工事関係の方々が行っていて、それでも堤防周りだけでしたから、クロメジナ(尾長)などの磯魚が、当時は磯釣り素人だった海洋大の学生や私にでさえ簡単にヒットしました。

 あれから13年。毎年潜り続け観察しています。今年の秋は台風の影響で、ウネリも高く結構苦労しました。チャンスを見計らい4回潜ってみましたが、海水温が高いためか、熱帯魚系の魚たちがとても多かったです。

 調査の結果は別報告するとして、オプションの釣りは最終日の午前中でした。マルキユー研究室の室長・藤原亮さんと研究員の武内俊さんと3人で地磯から釣りをしました。藤原さんは上物、武内さんと私は底物です。

 がまかつの振り出しイシダイ竿にリールはアンバサダー9000。サンラインの口白鬼憧16号、ハリはがまかつ貫石鯛14号でした。餌はマルキユーの「食わせ赤貝」を使いました。武内さんも同様です。イシダイが釣れれば幸運なのですが、私たちは釣れればなんでもOK。武内さんは魚オタクでいろんな魚を釣ってみることが大好き。珍しい魚が釣れればそれで良しという気持ちです。仕掛けを投入するとすぐにブルルンと当たりが来ますが、なかなか掛かりません。魚が小さいのでしょう。時折、ウミガメが顔を出し、和ませてくれました。

 正味3時間の釣りでしたが、釣れた魚はイシガキダイ、アカハタ、ウツボ、ブダイ、そしてカンムリベラでした。カンムリベラは2人とも初見参、緑が美しい魚でした。しかも武内さんが釣った1・7キロはJGFAのオールタックル日本記録に相当する魚でしたので、現在記録申請中です。

 三宅島はまだまだ復興途中。魚はたくさんいるのでぜひ出かけてください。 (東京海洋大学客員教授)

 ◆東京海洋大学フィッシングカレッジ 11月5日(月)午後6時半から品川キャンパス白鷹館1F講義室で入場無料。テーマは「釣りと環境」。講師は武内俊(マルキユー研究室員)。

 ▼釣況 民宿夕景=(電)04994(5)0118。地磯ガイドなどあり。

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