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鉄筋工夫婦 筋金入りの太公望 バンに竿積み東奔西走!

[ 2017年11月24日 08:11 ]

2人で釣ったフグでお楽しみのしゃんしゃぶを
Photo By スポニチ

 【根ほり葉ほり おじゃま虫ま〜す】人生は一度きりとはいえここまでやれたらうらやましい。おいしい魚のためならどこまでも。追っ掛け夫婦を追い掛けて大原・幸盛丸のショウサイフグにおじゃま虫ました。(スポニチAPC 町田 孟)

 長沢恭太郎さん(59)、よしみさん(58)夫婦が釣りバカ物語の主役だ。

 「仕事はサブ…かな。ブハハッ」。ダンナの大笑いにオッカアもつられる。お互いヒフミン状態、前歯がない。何ともあいきょうがある。ただ、訳もありそうだ。

 共働きの「鉄筋工」だ。建築現場の基礎作りをする。いつでもどこでも、さあ!と思い立った時一緒に動ける。合理的だ。移動は車。住まいのある千葉からオッカアが運転する。バンにキャンプ道具を積み込んでひた走る。

 「俺、酒とタバコが友達。どうしても飲みたくなっちゃう。ガハハッ」。勝手な理由。オッカア、苦笑いするしかない。「秋田、和歌山にも行った」

 横でニヤつくばかりのダンナ。少年期を山形で過ごした。家のすぐそばには川が流れ、裏手には山。わんぱくに磨きをかけるのにはもってこいだ。「勉強?それって何。どこで釣れるの。ムハハッ」。自然が教科書。釣りの原点が「渓流だった」のも分かる。

 25歳の時に下田に移住した。川、海がある。「2週間釣りしないとイラつく」男にとって最適地だ。「1年364日釣りをした。朝の仕事前、昼飯時に、夜帰ってからとかね。残念だったのは“一年中”に1日足りなかったこと。台風だったんだ。カカカッ」

 しかし、アユに目覚め幅が広がった。今でも各地の大会に呼ばれ、参加する。

 結婚して今年で20年目。「無理やりハリを口に突っ込まれて釣られちゃったの私。でも惚(ほ)れられて一緒になるのは幸せでしょ」。惚れた、ではない弱み?がユニーク。

 「子供のころ釣りは経験していたし、テニス、スキーも」。アウトドアの下地があった。「魚のおろし方から盛り付けも1回教えて後はお任せ」。うそぶく暴君もどきの野性児でも波長が合うのだろう。

 11年には小笠原の父島、母島に仕事も兼ねて7カ月滞在。移動したのが3月8日。だから3・11の揺れを体験せずに済んだ。目の前を泳ぐカンパチの見釣り。磯マグロに遭遇して即道具購入と興奮の日々だったらしい。楽園を去る段には「借金が100万円。テヘヘッ」。

 食べたい魚だけを釣るために仕事をする生き方に「ほぼ悔いはない」。ほぼの部分は「本マグロを釣ったことがない。これだけはまだ買ってる」。あとはアユの大会を制することか。さて2人はこれからどこへ向かうのだろう。「オッカアがマダイやりたいって。ウフフッ」。

 突き抜けている。壮烈で痛快なハナシは続く。

 春は山菜、秋はキノコ狩りを楽しむ。野山を走り回った経験が生きている。「山を見ればどこに何があるか分かる。木の色、生えている角度でね。コシアブラとシオデが一番好き。キノコはアミタケ類、ナメコ」。山梨での山菜採りでは行く先々に「クマの足跡」。恐怖も体験。

 ▼鈴木光雄船長の診断 釣りがうまい人は小まめに餌を確認したりハリ先を点検する。長沢さんはそんな一人。今後のフグの見通しは潮さえ変われば数が出る。

 ▼釣況 東日本釣宿連合会所属、大原・幸盛丸=(電)0470(62)2267。出船は午前5時。乗合料金9000円。ヒラメ船も出船中。

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