脚本家・竹山洋さん急死 76歳 敗血症性ショック NHK大河「秀吉」や「利家とまつ」などで注目

[ 2023年4月18日 05:15 ]

95年、NHK大河ドラマ「秀吉」の制作発表でタイトル入りの掛け軸を手にする竹山洋さん(中)(左は西村プロデューサー、右は黛りんたろうディレクター)

 NHK大河ドラマ「秀吉」「利家とまつ」や映画「四十七人の刺客」などで知られる脚本家の竹山洋(たけやま・よう、本名武田淳一=たけだ・じゅんいち)さんが12日午後11時31分、敗血症性ショックのため東京都新宿区の病院で死去した。76歳。埼玉県出身。葬儀は13日に近親者で行った。喪主は妻京子(きょうこ)さん。

 日本の映画、ドラマ史に刻まれる名作を数多く手掛けた竹山さんが逝った。関係者によると、数日前に体調不良を訴えて入院。それでも京子夫人に「パソコンを持ってきて」と依頼し、病床にあっても漫画原作、NHKラジオの仕事などを精力的にこなしていた。

 ところが12日に容体が急変、最後は京子さんがみとった。関係者は「突然のことに夫人もぼうぜんとしている」と明かした。

 早大文学部演劇科で学んだ。2学年上に吉永小百合(78)がおり、モダンジャズ研究会に所属していたタモリ(77)とも親交があった。卒業後、ジャズバンドのベーシストや構成作家などを経験。TBS子会社のアシスタントディレクター時代は演出家の久世光彦さんの現場でも働いた。

 73年ごろから脚本を書き始め、竹中直人(67)主演のNHK大河「秀吉」(96年)や松嶋菜々子(49)扮するまつの「私にお任せくださりませ」のセリフが話題を呼んだ「利家とまつ~加賀百万石物語~」(02年)などで注目を集めた。歴史上の人物を人情味あふれる等身大の姿に描く手腕に定評があった。映画では市川崑監督「四十七人の刺客」、降旗康男監督「ホタル」と高倉健さんの主演作を手掛けた。降旗監督はじめ「ホタル」関係者とはその後も折につけて新宿の焼き鳥店で交流を深め、「素敵な紳士でした。よく飲んで食べて。自分の作品にプライドをお持ちでした」とスタッフの一人はしのんだ。

 お別れの会は未定だが「どこかのタイミングでできたら」と関係者は話している。

 竹山 洋(たけやま・よう)1946年(昭21)7月28日生まれ、埼玉県出身。早大卒。雑誌記者などを経て、脚本を書き始める。01年にはドラマ「菜の花の沖」「夫の宿題」で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。執筆は万年筆による手書きにこだわった。07年に紫綬褒章、17年には旭日小綬章を受章した。

 ▼竹中直人(NHK「秀吉」に主演)竹山さんの熱のこもったまなざしを思い出します…。「むちゃくちゃな大河ドラマにしましょうね!汚い汚い、ど汚いヒーローをつくり上げましょうね!」と誓い合ったあの時が深く心に残っています。またいつかご一緒できるだろう…と思いつつただただ時が流れてしまいました。そして今、訃報を受け、ただぼうぜんとしています。

 ▼松嶋菜々子(NHK「利家とまつ~加賀百万石物語~」に主演)竹山洋先生の突然の訃報を受けて深い悲しみと驚きに包まれています。「利家とまつ」は私にとって永遠の宝物です。

 ▼三池崇史監督(映画「SABU~さぶ~」を監督)繊細で骨太、真っすぐと王道を進む美しさ。そんな作風そのままの優しい人柄。人間を描いた本物の脚本家でした。

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2023年4月18日のニュース