群衆安全専門家も悲痛…韓国雑踏事故、超過密18.24㎡内で156人死去「半数以上…悲惨だなと感じる」

[ 2022年11月1日 19:19 ]

150人以上が犠牲となった韓国ソウル・梨泰院の殺到事故現場
Photo By AP

 群衆安全学を専門にする関西大・川口寿裕教授が1日、MBSテレビの報道番組「よんチャンTV」に出演し、韓国・ソウルの梨泰院(イテウォン)で156人が死亡した雑踏事故について解説した。

2001年7月の兵庫・明石歩道橋事故との共通点について、「密閉空間」「対面通行」「超過密状態を把握できず人が流入」の3点を挙げた。「密閉という言葉を聞くと、エレベーターのような四方八方が塞がれているイメージがあと思うが、出入り口が開いていても、横方向に逃げる場所がなければ密閉状態と言える」と説明した。

 明石の場合は歩道橋1平方メートルあたり13~15人と推定されており、梨泰院では狭い路地の18.24平方メートルの範囲で150人以上が死亡と現地メディアが報道した。「おそらく1平方メートルあたりの人数は明石の歩道橋と同程度。そう考えると、単純計算で18・24平方メートルに300人程度がいたと思われる。その中の半数以上が亡くなったということになるので、ちょっと悲惨だな…と感じます」と悲痛な面持ちで語った。

 また対面通行が人流の停滞を招いたとし、雑踏コントロールには「一方通行が大原則。人は常に動かすこと」と語った。適切な警備のあり方としては、混雑が予想される通路の「真ん中に警備員を1人配置し、路地の両入り口にも配置し、混雑状況の連絡を取り合い規制する」ことだという。

 今回の事故では、「40メートルの長さの通路の真ん中あたりで事故が発生。発生現場から離れるにつれて密集・混雑具合いは緩和されるので、通路の入り口付近では“入ってはいけない”というほどの危機をおろらく感じない。だから入ってしまうが、ゆっくり進んでいくうちに危険を感じたころには、戻る事もできない中に巻き込まれている」という。

 ロザン・宇治原規史から「万が一、そういう現場に気づかず入ってしまった場合、後ろに戻るのは危険か」と問われると、「もし後ろに動けるのであれば戻った方がいいかもしれないが、それによって流れを乱すほどの混雑に既になっているのであれば、それはそれで危険」と、危険回避の難しさを口にした。「入り口付近から判断するのはかなり難しいが、少しでも歩きにくそうだと思ったら近寄らないこと」と、警備の強化に加えて歩行者側も意識、注意力を高める必要性を訴えていた。 

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2022年11月1日のニュース