大河「麒麟がくる」ヒロイン・門脇麦(上) 「歩きや電車でセリフをブツブツ」

[ 2020年8月28日 09:30 ]

NHK大河ドラマ「麒麟がくる」でヒロインの駒を演じる門脇麦(C)NHK
Photo By 提供写真

 【牧 元一の孤人焦点】NHK大河ドラマ「麒麟がくる」(日曜後8・00)が30日に再スタートする。ヒロインの駒を演じている女優の門脇麦(28)に思いを聞いた。

 ──ヒロインの駒を演じることは?
 「史実に縛られずに時代を切り取れる存在を演じることに対する意義を感じます」

 ──時代劇は難しい?
 「オリジナルキャラクターを演じることの難しさがあります。視聴者に分かりやすいように現代風に書かれているキャラクターを、歴史上の人物と違和感なく絡ませることが難しいです。しゃべり慣れない言葉がスムーズに出てくるようになるまで落とし込む作業が大変です」

 ──駒はどんな人?
 「戦災孤児という境遇の中でも、人の命を救う仕事に携わっている人。麒麟の存在を強く信じ、常に上を向き、新しいところに足を進められる人です」

 ──自分自身に近い?
 「やっていて、遠い感じはしないです」

 ──駒には自分のアイデアが入っている?
 「特別に自分の考えを言うことはないです。でも、どの役もそうですが、どうしても自分の本質が混ざってくると思うので、何かしら『私がやっている駒』になっているところがあると思います」

 ──芝居の手応え、抱負は?
 「私は15歳から50すぎまでの駒を演じることになるのですが、今作は、信長や光秀、足利兄弟などの年齢と、演じている人の年齢の関係性がバラバラで、見ている方は登場人物がどれだけ歳を重ねたか意識しづらいと思います。その点、駒は明確にカツラも変わりますし、年月の流れを感じていただきやすいかもしれません。先日、新しいカツラを被ったシーンを撮りましたが、モニターに映る自分の姿が新鮮でした。駒の容姿の変化が見ている皆様に年月の経過を感じてもらう助けになればと思います」

 ──過去に50歳の役を演じたことは?
 「ないです。ちょっと想像がつかないです。変に老けさせようとするのではなく、50歳の駒が言うセリフをきちんと背伸びせずに言えるような状態にしたいと思います」

 ──大河に出演して変化したことは?
 「セリフをしっかり覚えるようになりました。現代劇は半分くらい覚える感じで現場で固める、というやり方の方が私は性に合っています。大河は月曜日にリハーサルをして撮影に入るのですが、1日のリハーサルで成立させるのは難しいシーンが結構あります。そのためには1人で練習するしかないので、セリフをブツブツつぶやいたりしています」

 ──今まででいちばん練習している?
 「しています。例えば『お久しゅうございます』という言葉はふだん言い慣れていません。何回も唇を動かさないと口なじみが悪い感じがするんです。私は家では一切仕事のものを開かないので、歩いたり電車に乗ったりしている時に、セリフをブツブツ復唱したりしています」

 ──これまでで最も思い出に残る場面は?
 「光秀の正室の熙子さん(木村文乃)と初めて会って質屋に行って、お別れする時に『お会いできて、うれしかったです』と言うシーンです。その時、本当に、お会いできて良かったという気持ちになりました。自分を火事から救ってくれた人が光秀のお父さんだと分かり、光秀に対する思いを越えて明智家の方々に対する思いになった。あのシーンは一つの節目だったかなと思います」

 ──演じてみて「お会いできて、うれしかった」と感じた?
 「台本を読んだ時というより、熙子を演じている木村さん、光秀の母を演じている石川さゆりさんとの一連の流れの中で『お会いできて、うれしかった』と思う自分がいました」
(つづく)

 ◇門脇 麦(かどわき・むぎ) 2011年に女優デビュー。15年の連続テレビ小説「まれ」でヒロインの友人役を演じて話題に。18年の映画「止められるか、俺たちを」でブルーリボン賞主演女優賞を受賞。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴約30年。現在は主にテレビやラジオを担当。

続きを表示

2020年8月28日のニュース