「半沢直樹」後半のクセ者――敵か味方か?「紀本常務」段田安則の“涼しげ”な存在感

[ 2020年8月28日 11:15 ]

「半沢直樹」令和の倍返しだ!<中>

ニューヨーク帰りのエリート行員・紀本平八を演じる段田安則(撮影・小海途 良幹)
Photo By スポニチ

 TBS日曜劇場「半沢直樹」の後半では、主人公の銀行員・半沢直樹が経営破綻目前の帝国航空の再建に向けて汗をかく。スポニチは全3回の連載で注目を集める後半のクセ者を紹介。2回目はそのプロジェクトの指揮を執る、段田安則(63)演じる常務の紀本。激しい演技合戦が繰り広げられる中で、段田の演技は涼しげだ。

 「スポニチさんの大阪版は阪神が1面ですか?」。インタビューは逆質問で始まった。大の虎党の段田。「今年は矢野監督が上本(博紀)をなかなか使わないんですよ。2軍で打ってるんだけどね」。2軍の結果もチェック。その上本、取材後の今月18日に1軍に昇格し活躍を見せている。

 撮影後の楽しみがテレビ観戦。この日は試合を録画してきた。「時間がない時は倍速でバーッと見て、ここだってところだけね」。演技は涼しげだが、阪神への思いは熱い。

 演じる紀本は、ニューヨーク支店から本社の常務に栄転したエリート行員。半沢の敵なのか、味方なのか、ここまでハッキリと描かれていない。それが今後の展開にも大きく影響するだけに、視聴者も動向が気になっている。「私が小ボスかもしれませんし、味方かもしれませんよ」。そう言って不敵に笑う。段田もどこかつかみどころがない。適役だ。

 コロナ禍で出演舞台が3本なくなり、今作のオファーが舞い込んだ。「色の濃い役者さんばかり。こんな地味な私が出て大丈夫かと思いました。私に大きな演技は合わないので。試行錯誤して、ようやくなじんできたかな」。殊勝に語るが、「動」の役者が多い中で「静」として存在感を発揮している。

 自身を「お茶漬け」と表現する。「濃い味付けのうまい飯を食った後に、あっさりしたものを食べたい。その時は私がいいのかもしれませんね。お茶漬けをサラサラ~っと食べるように」。そんな気持ちで作品にアクセントをつけている。

 今作の面白さは「悪い者をやっつけるという普遍的な痛快さだと思う」と語る。強者にやり込められる半沢がはい上がる姿を見たい。そうした視聴者の判官びいきもある。その気持ちは、低迷期の阪神を追い掛けてきたから痛いほど分かる。

 「勝ってほしい、優勝してほしいと思ってても、どこか屈折してて、弱いモノを応援する気持ち良さがあるんですよね。それが分からないと、本当の阪神ファンじゃないんでしょうね。まあ、半沢は最後に勝つんですけどね。私はどうなるのか分かりませんが…」。穏やかに語る姿からは、敵か味方か全く読めない。果たして。

 ◆段田 安則(だんた・やすのり)1957年(昭32)1月24日生まれ、京都府出身の63歳。立命館大卒業。青年座研究所を経て、81年に野田秀樹主宰の劇団「夢の遊眠社」に入団。中心俳優として活躍した。舞台、映像作品を問わず、シリアスからコミカルまでさまざまな役柄をこなす実力派。1メートル70、血液型A。

続きを表示

この記事のフォト

2020年8月28日のニュース