理想は理想で

[ 2019年7月15日 08:00 ]

2005年のWRCラリー・ジャパンから。トタルはプジョーのスポンサーでもあった(撮影・我満 晴朗)
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 【我満晴朗 こう見えても新人類】2020年東京オリンピック・パラリンピックまで、あと1年。メイン会場となる新国立競技場をはじめ、湾岸地区に建設中の大型アリーナが最終形に近づきつつある。いろいろごちゃごちゃとした問題があったにも関わらず、予定通り開催できそうなムードだ。今思い起こすと4年前のリオデジャネイロは「ホントにオリンピックできるの?」という状態だったらしいから(ロンドンでの代替開催の可能性も報じられた)、さすが日本といったところか。

 その一方で、へそ曲がりの筆者はさらに4年先のパリ大会が気になっている。だってフランスを代表する世界的なエネルギー企業からの資金提供を開催都市が断ってしまったのだから。

 レキップの電子版などによると、その企業はTotal(トタル)。かつてモータースポーツを担当していた身からすると、ものすごく親近感がある組織だ。WRCではシトロエンのメインスポンサーだし、WECのルマン24時間レースでもおなじみ。まあ、ざっくり言えば石油会社なので、一般消費者からするとガソリンやエンジンオイルなどが主力製品というイメージが強い。

 実はこのトタル、地元開催のオリンピック・パラリンピック支援にはかなり積極的だったという。ところがパリのアンヌ・イダルゴ市長がこのオファーをあっさり断ってしまった。同市長は環境問題に対し敏感な立場をとっており、2024年の一大イベントも「クリーン五輪」を旗印としている。そんな花の都が、化石燃料に頼るエネルギー企業から資金を提供されるわけにはいかない、というのが拒否の理由。太陽光発電など再生エネルギー普及にも熱心なトタル側は丁寧に説得を続けていたが、7月初めにはメインスポンサーの意向を正式に取り下げた。

 この事態を受け、フランスのエマヌエル・マクロン大統領は「いいアイデアとはいえない」とパリ市の態度をやんわり批判。対してパリ市長助役のイアン・ブロサ氏は「例えるなら、グルメの祭典をマクドナルドがスポンサーするようなもの」と反論したという。マックは美食じゃないというフランス人のプライドは理解できるものの、そこまで言うか、の感はある。

 当該記事をネットで読んでいたら、ユーザーコメントの欄に「それを言うなら選手や関係者がパリにやってくるための飛行機はどうなるなるんだ?」という意見が掲載されており、思わずぷっと吹きだしてしまった。

 ゼロ・エミッションを掲げるのは素晴らしい。でも現実を顧みることのない主張はただの空論だ。そのあたりのさじ加減、今後5年間でどうなるのだろう。まあ、反社会勢力とお付き合いするわけではないし、どこかで妥協するのが手筋かもしれない。(専門委員)

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