DeNA伊勢大明神 荒れた一戦を「不動明王」と化し沈静化!

[ 2023年5月20日 19:56 ]

セ・リーグ   DeNA5―3ヤクルト ( 2023年5月20日    横浜 )

<D・ヤ>DeNA4番手の伊勢(撮影・島崎忠彦)
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 そのときDeNA・伊勢は、8回のマウンドに向けブルペンで急ピッチの肩づくりをしていた。

 トラブルが起きたのは4―2の7回1死二、三塁。ヤクルト・小沢が宮崎に死球を与え、両軍ベンチからナイン、スタッフが飛び出し険悪ムードとなった。球審は「警告試合」を宣告した。

 伊勢は少しだけブルペンから両軍の輪ができているマウンドの方に向かった。「もちろん、こういう場合は駆けつけないといけないから」。だが一方で、勝ち越した直後のマウンドに立たないといけない緊張感にも包まれていた。

 「少しナーバスになりました。だって、それで僕がヤクルトの選手の内角を攻めて死球をだしたら報復と思われるかもしれない。さらにおかしなことになる」。

 だがどうだ。伊勢大明神は、8回先頭打者の村上を空振り三振に仕留めると、1死一塁でオスナを遊ゴロ併殺打に封じ、しっかり役目をこなした。

 試合後に三嶋が振り返る。「あの異様な雰囲気になって、そのあと登板して抑えた伊勢は凄いと思う」。伊勢も続けた。「僕もこんな雰囲気になったあとに投げるのは初めてですよ。いい経験になったけど、できればこんなことは起こってほしくない」。

 試合を沈静化させた伊勢大明神の力は絶大だった。三浦監督はこの試合を「一瞬熱くなったけど、選手が冷戦になって集中してくれた」と振り返った。

 その言葉は、まさにマウンドで「不動明王」のごとく鉄のメンタルで試合を落ち着かせた背番号13のことを指していたに違いない。 (大木 穂高)

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