ピッチクロックって実は投手有利!?「投手優位増えた」「間合い好きに使える」社会人野球導入で証言続々

[ 2023年5月20日 07:15 ]

投手の投球間の時間を計るタイマー
Photo By 共同

 大リーグで今季から導入されたピッチクロックを、日本では社会人野球がひと足先に導入している。試合時間短縮のために投球間の時間制限を設ける。投手は無走者の場合は12秒、走者ありでは20秒以内に球を受けてから投げなければいけない。4月下旬に開催されたJABA京都大会では9回で終了した1試合平均の時間が2時間35分で、昨年よりも12分間短縮された。

 投手にとっては、投げ急ぎにつながりかねない制度とも言える。しかし、いざ運用が始まると同制度を前向きに捉える投手が数多い。下手投げ右腕のシティライト岡山・金津知泰は、投手に有利なルールだと捉えている。「もう少し粘ろうかな…など決められた時間の中で自由に秒数を使える。自分優位の場面が増えました」。素早く手放したり、制限時間いっぱいまで粘ったり。変則右腕らしく相手を幻惑させる手段の一つとして、間合いを巧みに利用している。

 今秋ドラフト候補に挙がる三菱重工Westの竹田祐(23)は、「今まで通り投げている。何も変わらないです」と投球に与える影響は少ないと明かす。「20秒の中で間合いを変えることもできる。だから秒数が見えて気になることもない」とむしろ前向きに捉えている。決勝戦で完封勝利を挙げた鷲尾昂哉(22)も「バンバンと投げていくタイプなので気にならない。秒数が見えるので好きなように間合いを使える。自分にとってはいいルール」と新制度を歓迎する。

 三菱重工Westで社会人野球を代表する投手として活躍し、今季から同社の指導者を務める守安玲緒投手コーチは「試行錯誤が必要だと思っていたが、選手は柔軟に対応してくれている。ピッチクロックを上手く利用できる投手もいる」と明かす。オフ期間のブルペン投球では秒数を計って投じるなどの対策を進めていたものの、投手は戸惑うことなく実戦に臨めていると言う。秒数を計る「クロックボード」は捕手後方に設置されているため、打者には見えない。このことを上手く利用し、駆け引きに用いる投手が数多くいる。(記者コラム・河合 洋介)

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