目指せ阪神・村上の道 山梨学院・林謙吾が5回ノーノー達成 スカウト「打者が合わせづらい」

[ 2023年5月20日 17:26 ]

第75回春季高校野球関東大会 1回戦   山梨学院12―0横浜隼人 ( 2023年5月20日    サーティーフォー保土ケ谷 )

自己最速の142キロをマークした林(撮影・柳内 遼平)
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 第75回春季高校野球関東大会は20日、神奈川県の横須賀スタジアムなどで開幕。1、2回戦5試合が行われる。今春の選抜で山梨県勢初の優勝を果たした山梨学院は12―0で横浜隼人に5回コールド勝ちした。先発したエース右腕・林謙吾投手(3年)は5回参考ながら1死球のみでノーヒットノーランを達成した。

 日本一の頂に立った男は見える世界が違う。エース右腕・林は10―0の5回2死で16人目の打者を迎えた。あと1人で5回参考ながらノーヒットノーラン達成だ。最後の打者を中飛に仕留めると、打球に視線を送ることなくロジンバックを拾い上げた。歓声の上がるスタジアムとは対照的にエースの表情は晴れなかった。

 「この関東大会でもう1回、つくり直して夏に行けるようにという気持ちで臨みました。序盤は頭が突っ込んで投げるという悪いクセが出てしまったんですけど、徐々に修正しながら投げることができました。試合の中で修正できるのが自分で強みだと思っているのでよかったかなと思います」

 最後の夏に向けて進化は止まらない。この試合の初球に自己最速を2キロ更新する142キロをマーク。選抜では6試合を投げて51回2/3で四死球はわずか6だった制球力も健在。この試合もカットボール、カーブ、スプリットを自在に駆使してコーナーを突いた。「しっかり右バッターのアウトコースに投げるのが自分の持ち味」と長所を自覚している。

 選抜後に招集された高校日本代表候補強化合宿では大阪桐蔭・前田悠伍投手(3年)や仙台育英・高橋煌稀投手(3年)ら世代を代表する投手と交流。その中でも享栄(愛知)の最速152キロ左腕・東松快征(3年)の直球には「速さが一番違った」と衝撃を受けた。その上で「伸びであったり、切れであったり、コントロールであったりという部分は負けてないかなと思いました」と自信を深めた。
 
 甲子園の春夏連覇が懸かる高校最後の夏へ。大きな期待を寄せられるが「自分たちは力がない。そうやって勝てるチームではないので目の前の試合に一丸となって頑張ります」。謙虚に一歩ずつ踏みしめる考えだ。(柳内 遼平)

 ▼中日 米村明アマスカウト・シニアディレクター コントロールが良い投手です。打者が合わせづらい角度やボールの見えづらさを備えている。これから時間をかけて制球力や直球のスピン、打者との勝負勘を鍛えていけば(阪神の)村上のようになれる可能性を秘めています。(アマチュア時代の)村上投手は(投本間の)18メートル44の中で危険を察知できる能力を持っていた。そういう力は打者との勝負の中でしか磨くことができない。(林は)これからしっかり鍛えてどこまでの投手になれるか楽しみです。

 ◇林 謙吾(はやし・けんご)2005年(平17)7月30日生まれ、東京都出身の17歳。舎人第一小1年時に野球を始める。駿台学園中では軟式野球部に所属し、1年時に夏の全国大会で4強。山梨学院では2年秋からベンチ入りし、昨秋の明治神宮大会から背番号1。50メートル走6秒6。遠投100メートル。1メートル78、81キロ。右投げ右打ち。

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