DeNA今永“侍大トリ登板”芸術1勝「ここまでできるとは」 8回零封無四球で単独2位浮上に貢献

[ 2023年4月22日 05:30 ]

セ・リーグ   DeNA1-0広島 ( 2023年4月21日    マツダ )

<広・D>3回、野間を遊ゴロ併殺に打ち取った今永(撮影・奥 調)
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 DeNA・三浦監督は、1―0の勝利につぶやいた。「芸術を見ているような感じだった」。その表現の相手はエース今永だった。今季初登板初先発で8回5安打無失点。無四球での101球に今永は「プレッシャーはあった。ここまでできるとは思わなかったが、捕手の戸柱さんが引き出してくれた」と胸を張った。

 最速150キロにカーブ、チェンジアップ、スライダーで変幻自在。準備のたまものだった。3月22日(日本時間)のWBC決勝・米国戦での先発から30日。侍ジャパン投手陣の中では大トリ登板だった。米国から帰国後、今永は三浦監督に「開幕に合わせられる。問題ない」と伝えたが、指揮官は「焦らず調整しろ」と万全を期す時間を与えてくれた。今永は「監督の親心」とその時間を有効に使った。滑りやすいWBC使用球を抜けにくくするために、大会に向けてリリースポイントを高く変えていた。NPB球に戻り、リリースポイントも以前のように修正。この日、無四球だったようにボールの変化は全く感じさせず、8回まで投げきった。

 WBCで得た経験で新たな一面も見せた。7回まで0―0が続いた投手戦。4回2死では、5番西川の2球目に83キロのスローカーブを投じた。普段はほぼ使わないボール。「心を楽にしたかった」と緊張をほぐす狙いがあった。侍ジャパンで、先輩のダルビッシュから授かった金言が根底にあった。「自分にかける声が大事」。失点したら負ける展開。だがそこで力むのではなく、自身に脱力を言い聞かせた。精神面での成長も感じた初登板だった。

 チームは単独2位に浮上し、貯金も今季最多タイの3。「自分が投げた試合で何勝するかが一番大事。最終的にはチームに勝ちがつけば一番良い」。好調のチームにエースがあるべき姿で戻ってきた。(大木 穂高)

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