イチローさんが語る高校球児との交流 「野球選手であることを超えて人としてどうありたいか」

[ 2023年3月29日 07:00 ]

2022年11月、高校女子硬式野球選抜との試合で力投するイチローさん
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 イチローさんは右肩痛を乗り越え、昨年11月に再び高校女子選抜との試合で登板し、完投勝利を挙げた。高校球児への指導も行い、精力的に若者たちと過ごす日々を取り戻した。(共同)

 ――球児たちとの交流は3年目。その意義は。
 「今の取り組みの意義については、さらに時間が経過しないと分からないことです。ただ、限られた時間での交流なので、特別な何かが生まれなくても仕方がありませんが、3年間でその可能性を感じています。いずれにせよ僕が足を運んでも、そこで理屈だけこねていては伝わり方が弱い。やはり一緒に全力で動けることが大切です」

 ――彼らと接して思うことは。
 「高校生たちからの思いがつづられた手紙を読むと、この先もずっとつながっているだろうな、と思わせてくれる。それは野球選手であることを超えて人としてどうありたいか、という類のものが大半で心打たれます」

 ――肩を痛め、思い通りに投げられない期間は半年以上に及んだ。
 「高校時代にイップスで苦しんだ時期はありましたが、肩を痛めたのは生まれて初めての経験。未知であったとはいえ、8カ月もの間、思うように投げられないのはショックでした。ストレスがたまったし、途中もしかすると戻って来られないかも、と絶望的な気持ちにもなりました」

 ――球児たちとの交流のため鍛錬は続けていく。
 「一緒に練習や試合をした事実が消えることはありませんが、もし僕が動けなくなったら(交流のあった)彼らがきっと寂しい気持ちになるでしょう。自分を求めてくれる人たちがいる限り全力で応えたい。現役選手時代とは違う責任の重さが、そこにはあるんです」

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