大阪桐蔭8強 “前田魔神”がピンチ救った「引いた投球をしなくなったのは成長」

[ 2023年3月29日 06:00 ]

第95回選抜高校野球大会3回戦   大阪桐蔭1―0能代松陽 ( 2023年3月28日    甲子園 )

<能代松陽・大阪桐蔭>9回、力投する大阪桐蔭・前田 (撮影・須田 麻祐子)
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 今大会初の1日4試合消化で3回戦を終え、8強が出そろった。第1試合では、大阪桐蔭(大阪)が能代松陽(秋田)に1―0で辛勝。7回にスクイズで先制し、8回途中から緊急登板した最速148キロ左腕・前田悠伍(3年)が最少リードを守り抜いた。打線が2安打に抑えられる苦戦を乗り越え、史上初となる2度目の選抜連覇にまた一歩前進した。

 「救援登板」「1点優勢の9回」「先頭打者出塁」――。状況は、あの夏と同じだった。違ったのは、大阪桐蔭・前田の精神面だ。

 「一瞬、夏の試合を思い出しました。でも、そこで引いていたらダメだと思いました」

 昨夏の下関国際(山口)との準々決勝では1点優勢の9回に逆転打を許して敗れた。今回は2イニング目だった1―0の9回、先頭打者に左前打を許した。「夏のときは頭が真っ白になったけど、あの経験をしているから一つ冷静になれた」。続く一塁線へのバント小飛球は、一塁手・佐藤夢樹の好捕に助けられて併殺が完成。最後は空振り三振を奪って、昨夏の悪夢を振り払った。

 「下関国際戦は、自分の持ち味である強気の投球ができなかった。引いた投球をしなくなったのは成長かな」

 出番は1―0の8回1死二塁から。無得点の均衡が続いていた7回途中から慌ただしく準備を始めていた。「急きょ肩をつくったので、あまり自分の投球はできなかった。だけど、自分が一番経験を積んでいる。引くような投球をしてはいけないと強気の投球を心がけました」。1番打者からの難所を左飛、空振り三振に仕留めて、スクイズで挙げた1点を守った。

 夏の経験が支えだ。力むと上半身の力に頼る悪癖を知り、「下半身を使えれば、ピンチでも冷静になれる」と意識してきた。冬の走り込みには、精神面を鍛える意味合いもあった。さらに、「夏は自分で何とかするしかないと思っていた」と反省。9回はマウンドから野手に声を掛けた。

 「やってきたことが今日につながりました」

 西谷浩一監督からは「全試合投げるつもりでやってくれ」と伝えられている。3回戦から決勝まで5日間で4試合。選抜連覇へ、フル回転で歴史を変える。(河合 洋介)

 ○…大阪桐蔭のスコア1―0勝利は、春夏出場26度、89試合目で初めて。スクイズによる決勝点も、春夏合わせて74勝目で初。

 ○…大阪桐蔭の2安打は、春夏通じてチーム最少。これまでの最少安打勝利は、14年夏1回戦の開星(島根)戦(○7―6)と、15年春2回戦の八戸学院光星(青森)戦(○4―1)の4安打。

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