報徳学園、死闘タイブレーク制して8強 サヨナラ打の西村「チャンスだったので積極的に」

[ 2023年3月29日 06:00 ]

第95回選抜高校野球大会3回戦   報徳学園5―4東邦 ( 2023年3月28日    甲子園 )

<報徳学園・東邦>タイブレークの10回1死満塁、サヨナラの喜びをわかちあう報徳学園ナイン(撮影・岸 良祐)
Photo By スポニチ

 報徳学園(兵庫)は今大会2度目のタイブレークの末、東邦(愛知)を延長10回サヨナラで破った。春8強は17年以来6年ぶり。春夏通算62勝目を挙げ、高松商(香川)、明徳義塾(高知)と歴代13位で並んだ。

 決着をつける一打が右前で弾むと、報徳学園・西村大和は一塁を回ったところで大ジャンプした。チームメートも拳を突き上げながらグラウンドに飛び出した。今大会2度目のタイブレーク。10回裏1死満塁で1ボールからの内角低め直球を果敢に打ち、背番号12の2年生がヒーローになった。

 「チャンスだったので積極的にいって、落ちてくれという気持ちだった。(前打者で申告敬遠の)辻田さんから“おまえが決めろ”と言われた。サヨナラ打は記憶にありません」

 苦しかった。今大会最多の15安打を放ちながら本塁で3度の憤死。7回には3点差を追いつかれた。東邦へ傾きかけた流れは、3番手で9回からマウンドに上がった背番号1の盛田智矢が力ずくで、ねじ曲げた。

 先に守った10回のタイブレークは犠打で1死二、三塁。浅い二飛と見逃し三振で切り抜けた。特に3番・真辺麗生には5球すべて内角直球。最後も捕手・堀柊那のサインに普段は振らない首を3度振り、自我を通して最高の一球が生まれた。

 「こういう時、ストライクが入らなかったり、打たれたり、いい結果になることは少ないんですけどね。外れたら次にスライダー投げよう、と」

 昨年9月4日の愛知遠征で東邦との練習試合では2試合で1得点もできずに連敗。主将でもある堀は「全員で勝てた」と胸を張り、大角健二監督は「だからチャレンジャーでいけた。普段は腹が立つくらいナヨナヨしているのに、試合ではたくましくなる」と選手を称えた。6年ぶりの8強。次も全員で突破する。 (畑野 理之)

 ○…報徳学園は、東邦に1964年以来59年ぶりの勝利を挙げた。過去に4度対戦。64年春1回戦○(1―0)、71年春2回戦●(4―12)、73年春2回戦●(3―4)、89年春2回戦●(0―3)と3連敗中だった。

続きを表示

2023年3月29日のニュース