侍・白井HC 選手たちの意識が変わった意外な一戦「必死で戦う姿勢が一番必要なんだと気づかされた」

[ 2023年3月29日 14:57 ]

白井ヘッドコーチ(右)と栗山監督
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 第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、3大会ぶり3度目の世界一に輝いた侍ジャパンの白井一幸ヘッドコーチ(61)が29日、TBS系「ゴゴスマ~GO GO!smile~」(月~金曜後1・55)にゲスト出演し、チームが結束するようになった意外な一戦を挙げた。

 侍ジャパンは今大会、東京ドームで行われた1次ラウンドと準々決勝イタリア戦、さらに米マイアミに戦いの場を移しての準決勝メキシコ戦、決勝の米国戦と、7戦全勝で優勝。大勝から1点差の接戦まで戦い抜いたが、白井コーチがキーポイントとしたのは、10―2で勝った第3戦のチェコ戦だった。「意外だと思われるかもしれませんけど、1次ラウンド、特にチェコ戦というのは、アマチュアの選手が相手ですので、勝つのが当たり前のような空気があって。序盤、侍ジャパンも受け身だったんですよ」と、ベンチの空気感を打ち明けた。

 チェコは国内にプロリーグがなく、競技人口は約7000人とも言われる。選手たちは手に職を持ち、先発したサトリア投手の本業は電力供給会社の社員だった。対する侍ジャパンは、“完全男”佐々木朗希投手(ロッテ)が先発。圧勝ムードが漂う中でのチェコの奮闘ぶりに、白井コーチは「佐々木朗希投手のボールというのが、日本のプロ野球の選手でもほとんど打てない。それを徐々に必死になって食らいついてきて、“当たるんだ”なんてベンチで思ってたんですよ」と驚きをもって振り返った。

 4回、佐々木朗がエスカラ内野手に死球を与えたシーンは、侍ジャパンに感動と決意をもたらしたという。エスカラは痛みをこらえて一塁へ向かうと、観客の拍手に応えるように右翼線へダッシュし、無事をアピールした。エスカラの右ひざを直撃したのは、162キロの直球。白井コーチは「普通の人なら退場」と驚き、「チェコの人たちは“野球やりたくて仕方がないんだ。侍ジャパンと野球をすることが幸せなんだ”というオーラを出しながら、我々と戦っているんですよ。そして、あそこで全力で走ったりするという。我々、受け身になっていたよね。必死で戦うというこの姿勢が、我々に今、一番必要なんだというのを気づかされたシーンであり、試合だった」と語った。

 勝利に向けて懸命になる姿勢に感動し、侍ジャパンの選手たちも気持ちが切り替わったという。白井コーチは「チェコの選手の戦いぶりに侍ジャパンの選手も感銘を受けましたし、デッドボールで走ったシーンなんかは全員がベンチで素晴らしいと、涙を流さんばかりに拍手をしていたんです。ですから、選手へのリスペクトが大きくなりましたよね」と感謝していた。

 佐々木朗は後日、エスカラの元を訪れ、お詫びに袋いっぱいのロッテ菓子をプレゼントしたことも、大きな話題になった。ほっこりする後日談に、白井コーチは「チェコと友好関係が結べました」と表情を緩ませた。

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2023年3月29日のニュース