阪神・井上 “驚速打球”23年甲子園1号 助っ人級パワーで開幕左翼グイッ 岡田監督「当然1軍戦力」

[ 2023年3月6日 05:15 ]

オープン戦   阪神2ー7オリックス ( 2023年3月5日    甲子園 )

<神・オ>4回、豪快に2ランを放つ井上(撮影・大森 寛明)
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 阪神・井上広大外野手(21)が5日、オリックス戦(甲子園)に「7番・左翼」でフル出場し、4回1死二塁で迎えた第2打席で、2023年のチーム甲子園初本塁打となるオープン戦2号2ランを左翼席へ叩き込んだ。その打球速度は驚異の177キロを計測。甲子園で本塁打のトラックマンデータの公開が始まった21年以降では2位タイの速度でスタンドに突き刺し、岡田彰布監督(65)へ開幕1軍、そして開幕スタメン奪取を強烈にアピールした。

 両手に残った心地よい感触をかみしめ、井上は一塁へと走り出した。歓声を聞くまでもなく、フェンスオーバーを確信し、悠然とダイヤモンドを一周。オリックスのドラフト1位左腕・曽谷が投じた149キロ直球を豪快にはじき返し、自身が当面のターゲットに置く「開幕1軍」の切符を力強くたぐり寄せた。

 「1打席目に少し迷った感じでサードゴロになった。2打席目は思い切って初球からいこうという中で追い込まれたが、何とかフルカウントまで粘って最後に打てて良かった」

 進化を証明する快音と言えた。2軍を主戦場とした近年は「フルカウントまで粘れることがあまりなかった」と回想した上で「この2月以降はフルカウントまで粘れていると感じる」とうなずく。今春オープン戦に限ると、25日ヤクルト戦(浦添)では唯一与えられた9回の打席でフルカウントまで粘り、本塁打を放った26日の日本ハム戦(名護)でも3回の第2打席で9球を投げさせた。ともに結果は凡退だったが、粘り腰を発揮。この日も2球で追い込まれてからフルカウントまで持ち込み、7球目を放物線へと昇華させた。

 「打席で結果が出るためにはどうすればいいのか、を考えながら打席に入っている。それが本当にいい結果につながっている」

 “助っ人級”の弾丸でもあった。この本塁打の打球速度は177キロ。21年にデータ公開を始めて以降では同年10月17日広島戦でロハス・ジュニアが記録した178キロに次ぎ、昨季の佐藤輝、ロドリゲスと並ぶ2位タイだ。左翼争いのライバルであるノイジー、ミエセスにも決して劣らぬパワーを誇示。打った瞬間、ベンチ内で立ち上がって驚いた岡田監督も、納得顔で語った。

 「びっくりしたよ。あれが唯一、目立ったな。ああいうのを見せてくれたら当然1軍戦力になると思うよな」

 「開幕左翼」どころか「開幕1軍」にすら当確ランプがともっていない立場であることは、井上自身が一番理解している。「3月はまだまだ試合がある。そこでどういう結果を出せるのかが大事」。残した数字だけが説得力を持つ世界。確固たる居場所をつかむためにも、目の前の一打席に全身全霊を傾ける。(八木 勇磨)

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2023年3月6日のニュース