日本ハムの「イケナイ太陽」 ドラ2・金村、相手も首脳陣も惑わす初先発3回無失点

[ 2023年3月6日 06:00 ]

オープン戦   日本ハム4-5楽天 ( 2023年3月5日    札幌D )

<日・楽>力投する先発の金村(撮影・高橋 茂夫)
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 日本ハムは楽天に逆転負けしてオープン戦初黒星を喫した。昨季までの本拠・札幌ドームでの今年最後の試合でひときわ強い輝きを放ったのが、ドラフト2位・金村尚真投手(22=富士大)だ。実戦初先発で3回1安打無失点。予定の投球回を35球でまとめ、4つの三振を全て違う球種を決め球にして奪う完成度の高さを見せた。

 新庄監督好みの投球スタイルだ。とにかくストライクゾーンで勝負できる。初回先頭、辰己への第1球からこの日最速の150キロをズドンと決めてストライク。追い込んでからの3球目を死球としたものの、続く小深田をスプリットで空振り三振させ、スタートした辰己を宇佐見が刺す併殺を取って一気に自分のペースに乗った。

 「(相手が)テレビで見ていた凄い選手たちばかりで、少し緊張したんですけど…」という新人らしい言葉と裏腹に、投げるボールは遠慮知らず。打者10人と対戦し、初球を安打された1人を含む7人を初球ストライクでぐいぐい攻めた。初球ボールの3人も、全員2球目の直球を空振りさせてカウントを立て直す小気味良さ。「一番自信がある真っすぐで、しっかりカウントをつくれたのが良かった。ストライク先行でいけたのが凄く良かった」と振り返った。

 直球だけではない。2回先頭の4番・浅村を鋭いスライダーで見逃し三振させると、3回先頭の田中和は「緩いのと投げ分けている、空振りを取れる速いカーブ」で狙い通りバットに空を切らせた。3回2死からは辰己をチェンジアップで空振り三振に仕留め、小深田を斬ったスプリットも合わせて勝負球の選択肢が広かった。
 建山投手コーチは「うれしい悩み」と言った。球種豊富、緩急自在なところから「彼は先発。ザ・先発投手」と感じる一方、救援陣の層が薄いチーム事情があるため今後の起用方針が定まらない。

 金村が北海道デビュー戦で札幌ドームに流した登場曲は、故郷・沖縄を拠点とするバンド、オレンジレンジの「イケナイ太陽」だった。首脳陣を惑わす、輝く才能。まさにイケナイ太陽が上ってきた。(和田 裕司)

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2023年3月6日のニュース